中学受験でやる気が出る志望校と出ない志望校とは?
開成番長こと個別指導塾TESTEA(テスティー)塾長の繁田和貴です。 皆さんのご家庭では志望校はもう決まっていますか? 目標がある方が、勉強にもやりがいが出るというもの。この学校に行きたい!という目標は早めに作ってあげたいものですよね。 しかし、受験する学校を決める際は、「この学校に行きたい(行かせたい)」だけではなく、戦略をよく考える必要があります。実力相応の学校で堅実に合格をつかむ方が良いのか、実力以上の学校にチャレンジをするのか、その決断はとても難しいものです。 私たちもご家庭から「志望校を下げようかどうしようか迷っている」というご相談をいただくことがよくあります。果たして、志望校は高い方が良いのでしょうか? それとも現実的な方が良いのでしょうか? 今回の記事では、子どもの成績を伸ばす志望校の選び方についてお伝えしようと思います。※繁田さんは開成中学・開成高校を経て、東京大学経済学部を卒業。開成在学時代には数々の逸話を残してきた通称「開成番長」。現在は、個別指導塾TESTEAの塾長として、開成・桜蔭・東大早慶をはじめとする最難関校に数多くの合格者を輩出している。
良い志望校とは子どもが合格に向けてやる気がでる学校
合格するためには学力を伸ばさなければいけません。そして学力を伸ばすためには勉強しなければいけません。ですから、良い志望校とは、子どもがやる気になり、より勉強するようになる志望校です。 このことを前提として考えると、どんなに魅力的な学校でも、子どもがそこに向けて頑張ろうと思ってくれない学校は良い志望校とは言えません。親からすると「魅力的なのに、頑張ろうという気にならないのか」という疑問を抱くかもしれません。しかし、どれだけ目標が魅力的でもやる気が出ないというのは大人でもよくあることです。
やる気は「合格の見込み」と「志望校の魅力」のかけ算で決まる
このことは心理学者のアトキンソンが「期待・価値理論」としてわかりやすく説明しています。この期待・価値理論とは何かというと、やる気は「期待」と「価値」のかけ算によって決まるという考え方です。期待とは「どのくらいの確率で求める結果が得られそうか」という見込みで、価値とは「どのくらいその結果が『自分にとって』魅力があると感じられるか」です。 受験においては、志望校を目指して受験勉強をしているお子さんがどれくらいやる気になるかは、受かる見込みがどれくらいあるかと、その志望校がどれくらい魅力的であるかの両方の強さで決まるということです。 かけ算ということは、どちらかがほぼゼロであれば、一方だけが高くてもやる気は湧いてきません。これらはどちらも「主観」であることに注意が必要です。親にとってどれだけ魅力的な学校でも、本人が魅力を感じなければ意味がありません。 そしてそれは、合格の見込みの方も同様です。例えば模試で「合格率20%」という判定が返ってきたとき、どんなに親や指導者が「まだ合格のチャンスはある」と思っていても、本人が「もうダメだ」と思ったらやる気は湧いてこないんですよね。