二宮和也だからこそ引き出されるもの

――プレミア試写会後の舞台挨拶では、竹内さんが新キャストであるキム・ムジュンさんをフォローしている姿が印象的でした。 竹内：僕的には全然フォローしているつもりはなくて、いい距離感でやらせてもらっています。彼のことはすごく尊敬していて、本当に素晴らしい俳優さんだと思いますね。言葉の壁を軽々と越えてくる、彼の人間性に僕は惚れています。 ――一方で、二宮さんとのお芝居は6年ぶりです。久々に対峙されていかがですか？ 竹内：やっぱり二宮くんとのお芝居はすごく好きです。二宮くんは、最後の最後まで何かが生まれないかな、何か新しい引き出しがないかな、と考えられている方なんです。最後まで考えに考え抜いたことにプラスして、現場で起こるリアルな生感をすごく大切にしてくださるので、そこに僕も挑みながらキャッチボールをする。その作業は緊張感もあり、充実感もあるので、天城先生とのセリフのやり取りは楽しいです。 ――特に惹き込まれたシーンも教えてください。 竹内：第1話で、世良に「あなたは医者じゃない」と言わせるシーンがあるんですけど、その直前に天城先生が世良にかける言葉を二宮くんは前日までずっと考えられていて。本番で言っていることは台本と一緒なのですが、日本語って複雑なので、ちょっとニュアンスを変えるだけで感じ方が全然違ったんです。そういう繊細な作業がありながら、二宮くんが演じているからこそ、『ブラックペアン』は面白いんだと思います。 ――二宮さんが天城を演じる際には、アドリブが多いとも聞きました。その影響は竹内さんにも？ 竹内：お互いに信頼し合うことで勝手に生まれるものもあるので、アドリブという感覚はあまりないんです。オペのシーンだったり、細かい会話のやり取りは、実際現場に入ってセリフを言ってみないとわからない部分がたくさんあって。そこで何かが派生して、結果としてアドリブになる、ということは日常的にあります。だからアドリブにこだわっているわけではなくて、お互いに信頼し合っている中でキャッチボールをしていると、自然と出てくるものなのかなって。 ――たしかに、相手に信頼がなければできないことですよね。それがお芝居の面白さ、醍醐味でもあると。 竹内：そうだと思いますね。今はそこも楽しみにしながら、日々現場に向かっています。