竹内涼真（写真＝池村隆司）

　6年ぶりの続編となった『ブラックペアン シーズン2』（TBS系）。二宮和也演じる主人公が渡海から天城へと変化したが、東城大のメンバーを中心としたキャスト陣はほぼ続投。各キャラクターに6年の月日が反映される中、もっとも変化していると言っていいキャラクターが竹内涼真演じる世良だ。シーズン1では研修医として、“受け入れる”キャラクターだった世良が、一人の医師として一皮向けた姿を披露している。竹内自身の役者としての成長ともシンクロする世良を彼はどう作り上げていったのか。じっくりと話を聞いた。（編集部） 【写真】今よりも少し幼い6年前の『ブラックペアン』インタビュー時の竹内涼真

「どう“世良の人生”を表現していくのか」を大切に

――久々にキャストのみなさんと顔を合わせたときには、どんなお気持ちでしたか？ 竹内涼真（以下、竹内）：素直に嬉しかったです。みなさんお忙しい中タイミングが合って、6年前のメンバーが再び集まれるっていうのは奇跡に近いと思いますね。みなさんとまた一緒にお芝居ができるのは、すごく喜ばしいことだなと思いました。二宮（和也）くんとは親しくさせていただいていて、シーズン2をやるかどうかという段階で「二宮くんがやるなら、僕はもちろんやります」と伝えていたんです。顔合わせの前にもちょっとお話できたので、久しぶりという感覚もなくスッと現場に入れたかなと思います。 ――伊與田英徳プロデューサーや西浦正記監督とはどんなお話をして、世良を作り上げていったのでしょうか？ 竹内：今回は僕の中に「研修医ではなく1人の医師として、自分がどうありたいかを最終回までに見つける」というテーマがあったので、そのためにどんどんチャレンジしていきたい、という話をさせていただきました。 ――具体的にはどんな話を？ 竹内：天城（二宮和也）にどれだけのオペの技術があろうと世良が今思っている“医者としての正義”みたいなものはぶつけたい、とお話しました。重要なのは、そこで勝つか負けるかではなくて、それをぶつけて何が返ってくるのか。世良にはまだ「自分は医者としてこうだ」という絶対的なものがないので、それを見つけるために自ら挑戦して、いろんなものを収穫していきたいと思ったので、絶対的に敵わないものがあったとしても挑み続ける。それが世良のテーマかなと思っています。 ――6年前の世良とは、やはり印象が違いますね。 竹内：医師として生きる中で、研修医の頃より「もっとこうなりたい」「これは違うんじゃないか」と、いろんな要素が生まれてくると思うんです。6年前は、周りの声を一生懸命に受けて、必死に食らいついて、打ちのめされて……ということでしたけど、今回は自分の思いを周りにぶつけていく。挑みにいく、という気持ちが強いのかもしれないです。 ――先日、伊與田プロデューサーにお話を伺った際、6年前の竹内さんは監督の指示を聞いてるような印象があったけれど、今作では自ら監督とお話されている姿が頼もしいとおっしゃっていて。今のお話を聞いて、世良と重なるところもあるのかなと感じました。 竹内：様々な現場を経て、現場で求めることであったり、話し合った先に見出すものであったり、自分の意見も以前より明確になって、西浦さんと話し合えている感覚はあります。 ――本作を通して、竹内さんご自身が挑戦だと感じるようなこともありますか？ 竹内：このドラマは難しい言葉も多いし、とくに心臓外科ということで、ふだん耳にしない専門用語ばかりなんです。ただ、その説明に走ってしまうと本筋の内容が薄くなってしまう。僕はこの作品で“人間ドラマ”を大切にしたいと思っていて、最新医療だったり、芸術性のあるオペを見せていく時に、唯一見えている目のお芝居と、手技とリアクションで見せていくことが多いのですごく難しいのですが、そこでどう“世良の人生”を表現していくのか、西浦さんと一つひとつ丁寧に擦り合わせながら演じています。 ――実際にドラマがスタートして、個人的に第1話で世良が「じゃあ1000万払えよ」と研修医に話すシーンが好きでした。 竹内：あははは（笑）。あのシーンは、本当はもう少し長くて「このセリフ知らないの？　名物なんだけど」みたいな言葉が続いているんです。やっぱり渡海（二宮和也）の存在は強烈で、ずっと彼の中にいるんでしょうね。ああやってイジることで、過去のトラウマから少し解放されている自分がいる。でも、世良は6年前よりずっと成長しているのに、どこか物足りないというか、ここからもう1歩成長するために何か刺激を探していて。だから、あのセリフは世良の寂しさだと僕は思っています。 ――あらためて、撮影に入った感想も聞かせてください。 竹内：懐かしいというよりは、新しいなと感じています。二宮くんが演じている役も違いますし、監督も今回は西浦さんですし、韓国からもチェ・ジウさんと（キム・）ムジュンくんが新しく入ったりと、シーズン1とはまたちょっとカラーが変わっているのではと思いますね。でもキャスト同士の息はあっているので、あうんの呼吸で乗り越えていくような場面はたくさんあります。 ――撮影の合間には、どんなお話を？ 竹内：他愛もないことをずっと話しています（笑）。キャスト同士の笑いは絶えないですね。とくに決まった話題はなくて、その場その場でいろんな話をしていますけど、本当にテンポ感がいいので楽しいです。やっぱり手術シーンの撮影は時間もかかるし、すごく大変なんですよ。でもそういうキツい撮影のときに、キャストみんなで手を取り合って乗り越えていく、という術（すべ）を僕たちはシーズン1で得ているので、そこの信頼関係は厚いと思います。