「考える手順」を変えるだけ。誰でも論理的思考を高められる習慣
現代のビジネス環境では、論理的な思考力がますます重要視されています。しかし、多くの人々は「論理的思考」「ロジカルシンキング」という言葉を聞くだけで、何か高度で難解なスキルだと感じてしまうかもしれません。実際、ロジカルシンキングで学習する「ロジックツリー」の難しさに辟易した人が多いのも事実。 ですが、実際には論理的思考は「頭のよさ」ではなく、単なる「手順」に過ぎないのです。手順に従えば誰でも論理的に考えられるということを強調するのが、今回のテーマです。 本コラムでは、ロジックツリーを使わずともできる論理的思考力を高める習慣づくりのヒントを紹介します。具体的にはコーチングで用いられる「GROWモデル」を活用することで論理的思考を高める方法を紹介します。
論理的思考は「手順」である
論理的思考を高めるための第一歩は、あくまで「手順」を踏むことで誰でも身につけられるという認識を持つことです。 論理的思考力を持っている人々は、実のところステップに従って思考を組み立てているに過ぎません。 非ロジカルな人は、問題があれば、経験則や思い付きで「あれをするべき」とスグに対策を出そうとしますが、ロジカルな人は、下記のようなステップで考えているに過ぎないのです。 論理思考は、次のステップで構成されます。 Step1 問題の特定(解決すべき問題を明確にする/具体的にすることがコツ) Step2 課題の特定(対策を考える前に、解決の鍵は何かを考える=課題) Step3 対策の選択肢を出す(2~3個の候補を出してみる) Step4 選択肢かベストな案を出す(最も効果的なものを選択する) まずは、論理思考は、あくまで手順にすぎない、ここをおさえておきましょう。
GROWモデル「5つのステップ」で考える習慣を身につける
さて、ここで紹介するのが、「GROWモデル」という手法です。GROWモデルは、特にコーチングの現場でよく使われる問題解決のアプローチですが、これを使うことで日常的に論理的な思考を自然に高めることができるのです。 GROWモデルは5つのステップから成り立っています。 Goal(解決すべき問題を明確にする/具体的にすることがコツ) 最初に、解決すべき問題を明確にします。「**」を改善する、といった抽象的な設定より、「**までに、**を**まで減少させる」といったよう、可能な限り具体的にしたほうが、論理的に発想することができます。 実は、論理的な人とそうでない人の特徴に1つに、「問題設定の粒度」の違いがあります。論理的に考えるためには、より具体的に考えることは不可欠になります。 Reality(事実を確認する) 次のステップとしては、事実を整理します。思い込みではなく、現実を正確に把握することが大事。問題の前提を明確にします。エクセル上のデータ(定情報量)を参考にするだけではなく、「現地」「現物」「現実」(三現主義)の観点で、定性情報も把握しておくことも重要です。 Resource(問題を解決するための要素を抽出する) 次に、具体的な対策を考える前に課題を出すことが大事。まさに解決の鍵です。事実を整理し、何があれば解決できるのかを考えます。解決志向で考えるのがコツ。何を解消すれば解決に向かうのか、その条件を考えます。 Options(選択肢を出す) 課題を抽出したら、対策の選択肢を可能な限り洗い出します。 最低、3つ以上は欲しいところ。論理的な思考を発揮するためには、「もっと、他にないのか」「ゼロベースで考えるとどんな策が考え付くか」と選択肢を広げます。1つの策だけに依存するのではなく、複数の代替案を比較し、最適な選択肢を見極めます。 Will(ベストな策を決める/意思) 最後に、最も効果的だと思われる選択肢を実行に移します。主に「効果」「確実に実行できるか」「コスト(手間や金額)」などの観点で評価し、ベストな策に絞ります。