「自分がここでピリオドかなと思い、去年から単身ニューヨークへ…」森山良子76歳の“試練”の乗り越え方
先生から「前時代のジャズ」と言われて
森山 千ちゃんのスタジオがブルックリンにあるので、マンハッタンの中心部のホテルから通って。レコーディングが終わると一緒にご飯を食べて、ジャズの理論を千ちゃんから教えてもらったり。あと、ジャズ学校の先生にも習いました。 野宮 ボーカルレッスン? 森山 じゃなくて、一緒に歌って指導してもらうの。マンハッタン・トランスファーのジャニス・シーゲルさんのお宅に行って教えていただいたときは、ぶっ飛んじゃった。ルルリ~ルル、ルルリ~ルルルラ~♪って、あんな声ってある!? みたいな声を間近で。 とにかく、ニューヨークへ行って気づいたのは、私のジャズは古いってこと。私はエラ・フィッツジェラルドとかサラ・ヴォーンとか、そういうのを聴いて育ったんです。父がジャズトランペッターだったから、家ではいつもそういう音楽が流れてて。だから、歌うとどうしてもそっちに偏っちゃう。すると先生が「良子さんのジャズは前時代のジャズです」って全否定(笑)。 女史会 え~っ!! 森山 とにかくきれいに、抑揚なく、喉を使わずに歌う。そして、目をつぶらない。もう目から鱗(笑)。
新しいジャズを勉強することで会得した歌唱法
渡辺 でも、自分の歌い方を否定されて、そこからまた新しいものに挑戦するって、難しくないですか? 森山 やる気満々(笑)。やっぱりいいアルバム作りたいし、古臭い歌い方のままでは、それを「いま」作る意味がない。あと、私は声にすごく興味があるんです。ニューヨークの先生は、喉じゃなくて顔のこのへん(眉間と鼻のあたり)から声を出せって言うの。それがどうしてもよくわからなくて。日本に帰ったときに、声楽の先生に質問したんです。お稽古のときにね。 野宮 ああ、子供の頃から師事していらっしゃる……。 森山 そう、坂上昌子先生。14歳からずっとクラシックの声楽を教えていただいていて。先生はいま88歳なんですけれども。 女史会 えーっ!!
ちなみに、更年期でダウンしたとかは?
松本 ちなみに、更年期でダウンしたとかは? 森山 案外絶好調で(笑)。大きな病気を経験したこともなく。あ、でも、1回、大腿骨骨折したことがあったの。7年くらい前かな。そのときは入院して、人工骨に替えて。でも、手術の翌日から歩けちゃって、5日目に退院。病院始まって以来の早い回復だったみたい。 女史会 すご~い! 森山 コンサートがあるので、早く治りたい一心で。 渡辺 あれ? じゃあ、ドラマでダッシュしたのは人工骨にしてからですか? 森山 そうそう。 女史会 うそーっ!!