「ココナッツシュガー」は血圧調整に役立つ甘味料で昼間に採りたい【時間栄養学的「気になる食品」】
【時間栄養学的「気になる食品」】 ココナッツシュガー ココヤシの花蜜を煮詰めて水分を蒸発させた天然甘味料であるココナッツシュガーは、東南アジアを中心に古くから利用されてきた食品です。インドネシアやフィリピンなどでは、砂糖の代わりに伝統料理や飲み物に使われています。 トマトで高血圧を予防できる?1日半個以上で36%リスク低下 キャラメルのような独特の風味があり、コーヒーやお菓子作りなど幅広い用途で使用されています。料理の味に深みを加える一方で、砂糖よりも自然で優しい甘みを提供します。 また、ココナッツシュガーの生産は環境にも優しいとされていて、ココヤシの木は伐採せずに花蜜を採取できるため、森林破壊を防ぐ効果もあると評価されているのもトレンドの理由かもしれません。近年では健康志向のマーケットで人気が高まり、多くのオーガニック食品店で取り扱われています。 そんなココナッツシュガーは、精製砂糖のような化学的な処理をほとんど受けていないため、ミネラルや微量栄養素が豊富! 特に血圧調整などに役立つカリウムが多く含まれています。昼のカリウム摂取量は1日の中で一番少なくなる時間帯とされていますので、昼向きと言えるかもしれません。もっとも、食べる量はそこまで多くはないでしょう。1杯のコーヒーや料理で使用する量はせいぜい5~10g程度。この場合のカリウム摂取量は50~100mg程度ですので、ココナッツシュガーだけで昼のカリウム量を補うのではなく、野菜などを一緒に摂ることも大切です。 その他にも、カルシウム、マグネシウム、鉄分などが含まれ、健康志向の甘味料として注目されていますが、特筆すべきはイヌリンという食物繊維が微量含まれている点です。食物繊維が含まれることにより血糖値の上昇を緩やかにする可能性があります。イヌリンは朝や昼などの活動期に摂取することで腸内環境を整える可能性があることが分かっています。 GI値は約35と低めのため、糖尿病患者や血糖値を管理する必要のある人にとって有益な選択肢となることでしょう。ただし、GI値に関するデータは研究によってばらつきがあり明確な結論には至っていないので、これからの報告に期待が寄せられています。 とはいえ「砂糖」である以上、摂取量を抑えることが肝心です。バランスの取れた食生活の一環として賢く利用することが大切ですね。 (古谷彰子/愛国学園短期大学准教授)