いま日本が学ぶべき「安倍晋三・トランプ外交」の”スゴすぎる舞台裏”と、安倍晋三が漏らした「アメリカへの本音」の”意外な中身”…!
「分断のもとはリベラル派」
バイデン氏の大統領就任前の2020年11月13日には、私は安倍氏とこんな会話をした。 衆院議員会館の安倍事務所を訪ねて雑談を交わしていた折に、米大統領選と米国社会のありようが話題になった。日本では、共和党のトランプ政権下で米社会の分断が進んだと語られがちだが、安倍氏は異なる見方を示した。 「トランプ氏が分断を生んだのではなく、米社会の分断がトランプ大統領を生んだ。そして、その分断をつくったのはリベラル派であり、民主党のオバマ前大統領の任期の8年間だ。バイデン政権となれば分断はさらに進むだろう」 オバマ政権下では、リベラル派がわれこそ正義とばかりにポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)を過剰に振りかざし続けてきた。その結果、保守派は本心を隠して疎外感を味わい、偽善を排するトランプ氏の出現を歓迎したとの見立てである。 オバマ氏は当初、安倍氏を歴史修正主義者で危険なナショナリストではないかと警戒していたが、安倍氏は徐々にその警戒心を溶かし、最終的には被爆地、広島まで連れて行った。 安倍氏は大統領就任前からトランプ氏に接近し、蜜月関係を演出したが、それはトランプ氏への属人的好感があったからではない。仮に相手がバイデン氏だろうと、米大統領であればいい関係を築く努力をしたのは間違いない。 日本の首相は、安倍氏が米上下両院合同会議演説も含め米国との歴史上の「和解」を成し遂げ、日米同盟強化のレールを敷いた遺産を生かせばいい。
阿比留 瑠比