「日本の原発再稼働に対する住民の声」を米紙が大きく報じる エネルギー需要が高まるも、地震大国で「考えたくもない」
政府が年度内の策定を目指す新たな「エネルギー基本計画」では、「原発依存度を可能な限り低減する」という表記が削除され、原発を「最大限活用する」と明記されることが明らかになった。一方、今年の元旦に起こった能登半島地震により、国民の原発への不安は再燃したままだ。 【画像】米紙が問う「能登半島地震で始まった1年を経て、日本は再び原発を受け入れるのか?」 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、能登半島地震で原発が被害を受けた石川県志賀町を取材。原発をめぐる住民たちの複雑な思いを報じている。
原発への恐怖、再び
2022年、史上最悪の原子力災害のひとつとされる福島第一原発事故から10年以上が経ち、日本はついに原子力発電を再開しようとしていた。 当時、日本国民の過半数以上は原発再稼働への支持を表明しはじめていた。2011年に福島県で地震・津波を原因とする原発のメルトダウンが発生して以来、日本の原発のほとんどは停止状態にあった。自民党は休止中の原発を再稼働させるのみならず、新たな原発の建設計画をも推し進めるつもりでいた。 自民党は、化石燃料への依存度が高い日本において、原子力こそが増加するエネルギー需要に応えつつCO2排出量削減目標を達成するための支えになると主張し、原発推進を緊急の課題として訴えた。 だが2024年、度重なる災害によって、日本に住む多くの人々が原子力への深い恐怖を思い出すと同時に、10月の衆議院選では自民党が過半数を割ることとなった。この国における原発の行く末は、ふたたび不確かなものとなっている。 2024年1月、この10年で最大級の地震が能登半島を襲った。これにより400人以上が亡くなり、休止中の志賀原発を含む多くの建物が破損、倒壊した。 8月には日向灘地震が発生し、専門家たちはこれを、以前から予測されていた南海トラフ地震の前兆である可能性があると警告した。南海トラフ地震が起これば、犠牲者は数十万人にのぼると推定されている。 「日本全土で地震が発生する以上、原子力発電が我々の安全を脅かすものであることは明らかです」と語るのは、東京にある「原子力資料情報室」で事務局長を務める松久保肇だ。「これは2011年の時点ではっきりしていましたが、能登半島地震で再確認されました」 3月に毎日新聞がおこなった調査では、回答者の45%が国内の原発再稼働に反対しており、賛成派の36%を上回った。