【SMA50th】THE KEBABSとPUFFYの熱気溢れる貴重な2マンライブ。両バンドのギタリストが新井弘毅だから実現したステージをレポート!
■タイトルの「〇〇」に記されていたのは、“弘毅”。THE KEBABSのメンバーであり、PUFFYのサポートをつとめるギタリストの新井弘毅だ 【画像】PUFFY 『THE KEBABS 〇〇』2024年10月17日 東京・豊洲PITより THE KEBABSが10月17日、東京・豊洲PITで『THE KEBABS 〇〇』supported by SMA 50th Anniversary」を開催した(出演/THE KEBABS、PUFFY)。 ソニー・ミュージック・アーティスツ(SMA)の50周年イベントの一環として行われた同イベント。タイトルの「〇〇」に記されていたのは、“弘毅”。THE KEBABSのメンバーであり、PUFFYのサポートをつとめるギタリストの新井弘毅(ex. serial TV drama)だ。 「PUFFYと対バンしたら新井くん(THE KEBABS & PUFFY Gt)はずっとステージにいるのかな」というTHE KEBABSの楽屋トークを耳にしたマネージャーによって実現したという対バンライブ。バンドシーンを席巻し続けるTHE KEBABSとオルタナ・ポップ・アイコンPUFFYがぶつかり合う、貴重なステージとなった。 開演時間になると、THE KEBABSの佐々木亮介(Vo & Gt / a flood of circle)、田淵智也(Ba / UNISON SQUARE GARDEN)が登場。 田淵「“THE KEBABSとPUFFYが一緒にライブをやると、新井くんがずっとステージにいるライブが出来上がるよ”って提案してもらって」 佐々木「新井弘毅を知らない人、おめでとう。今から日本一のギタリストが見られますので!」 田淵「MCの隙間に名前を呼ぶときは、“弘毅”しか認めません!とにかく弘毅最高という空気を充満させるのが目的ですから」 ■いきなり奔放な音楽性を見せつけるPUFFY とイベントの趣旨を説明。ふたりによってPUFFYが呼び込まれ、ライブがスタートした。まずはメロコア×パワーポップな英語詞ナンバー「Pathfinder」と「これが私の生きる道」を披露し、いきなり奔放な音楽性を見せつける。 大貫亜美「すごい会に呼んでいただいて、新井くん、どうもありがとう(笑)」 吉村由美「私たちのことはもう1回も見なくていいです。一生懸命、全員で新井くんを盛り上げたいと思います」 というトークに会場は大歓声。よく見ると大貫と吉村、そしてバンドメンバーは全員、新井の写真がプリントされたTシャツを着ている。 「誰かが」「君とオートバイ」とチバユウスケの作詞・作曲によるロックンロールナンバーによって雰囲気は一変。さらにオルタナティブな手触りのギターポップ「赤いブランコ」(新井の豪快なギターソロが炸裂!)を重ね、オーディエンスの熱気をグッと引き上げてみせた。 ■ポップでエッジーな“2024年のPUFFY”を体感できる圧巻のアクトだった 新井によるメンバー紹介(バンドメンバーは新井、木下裕晴/Ba、山口美代子/Dr、皆川真人/Key)のあとは(PUFFYのふたりに“もっと人となりがわかるようなこと言ってほしかった”とツッコまれてました)、新井が提供した「陽の当たる丘」。「自分なりのオマージュというか、PUFFYのイメージを2020年代にやるなら?と考えました」(新井)というバンドサウンドと、物件探しをテーマにした歌詞(作詞はバカリズム)がひとつになったオモシロカッコいい名曲だ。 ここからは大ヒット曲3連発。「愛のしるし」では観客のハンドクラップが鳴り響き、「渚にまつわるエトセトラ」ではシンガロングが発生、最後は「アジアの純真」で圧倒的なカタルシスを演出。ポップでエッジーな“2024年のPUFFY”を体感できる圧巻のアクトだった。 ■THE KEBABSのロックバンドのすごさ、楽しさ、面白さだけに突き進む姿勢は6年経った今でも1mmも変わってない THE KEBABSのステージは鈴木浩之(Dr / ex. ART-SCHOOL)のビートと“弘毅!弘毅!”のコールに導かれた「常勝アミーゴ」から始まった。「誰かが」のカバーにおける、佐々木の力強い歌声にグッと来ていたら、「Everybody needs 弘毅!」というシャウトからパンキッシュ&ポップなロックンロール「オーロラソース」が放たれ、佐々木と田淵のツインボーカルというこのバンドの魅力をアピール。さらにダークかつ攻撃的なプレイが攻めぎ合う「おねがいヘルプミー」、鋭利なギターカッティングとベースのリフ、トーキングブルース的な歌がひとつになった「てんとう虫の夏」によってフロアの熱狂を生み出した。 佐々木、新井、田淵、鈴木という豊かなキャリアを持ったミュージシャンによって2018年に結成されたTHE KEBABS。目標や目的を持たず、ロックバンドのすごさ、楽しさ、面白さだけに突き進む姿勢は6年経った今でも1mmも変わってない。というか、初期衝動的なインパクトはさらに増幅されていた。 佐々木「まさかPUFFYと対バンする日が来るとは…。俺らもメンバー紹介してほしいなあ」 田淵「メンバー紹介、考えといて」 というトークの後も、ライブ中盤でも奔放なアイデアを無邪気にぶつけ合うロックナンバーが次々と披露された。新井弘毅の作曲による「ジャンケンはグー」はファンクとポストパンクが混ざったダンスチューン。「俺たちのライブ振付とかないから、好きにやってくれ!好きに弾いてくれ!ギター、新井弘毅」(佐々木)というコールから始まった長尺のギターソロも最高だ。 ■キッズのように無邪気にやってるのに、経験やテクニックがすごいもんだから、思いがけずカッコいい曲になってしまう…というTHE KEBABSの無敵感 さらに獰猛なベースからはじまるハードコア・ナンバー「台風ブンブン」を経て、田淵・佐々木のボーカルで“大好きだよ 大切だよ / だから忘れないでくれよ”とピュアすぎるフレーズが奏でられた「ラビュラ」と多彩な楽曲によって、自由すぎる音楽空間が生まれた。バンドはじめたてのキッズのように無邪気にやってるのに、経験やテクニックがすごいもんだから、思いがけずカッコいい曲になってしまう…という無敵感こそがTHE KEBABSの魅力だろう。 今年の8月に40歳になった新井。 「“生誕祭みたいにしてくれるな”と言われてたんだけど、無理ですね。おめでとう!」(佐々木)というお祝いコメント、そして、新井によるメンバー紹介から、2度目のMC。この日のために作られた“新井”をフィーチャーしたTシャツや扇子にまつわるトークを挟み、「本気でバンドやってたら、燃え尽きるべきなんですよね。生き延びちゃた場合どうするかっていうと、本気で遊ばないと無理。俺からみんなにできることは特になんで、やさしくしてください」(佐々木)という言葉から「やさしくされたい」へ。つんのめるように疾走するビート、「弘毅が好きか?!」というシャウトが炸裂した「メリージェーン知らない」、そしてライブアンセム「THE KEBABSは忙しい」「THE KEBABSのテーマ」で本編は終了した。 ■ギタリスト・新井弘毅の魅力を存分に体感できたステージ 観客の“弘毅コール”からはじまったアンコールでは、新井が在籍していたバンド・serial TV dramaの楽曲「赤いパーカー」「まばゆい」を演奏。際立ったポップネスをたたえたメロディ、独創性に富んだオルタナ的アレンジが共鳴する楽曲は、今聴いても驚くほど斬新だ。ラストは“恐竜だ ガオガオガー でかくてやばい”という歌詞がヤバいアッパーチューン「恐竜あらわる」。ライブバンドとしての凄すぎる楽しさ、ギタリスト・新井弘毅の魅力を存分に体感できたステージだった。 バンドに興味がある方はぜひ、一度このバンドのライブを観てほしい。“ロックバンドって、こうあるべきだよな”と改めて実感してもらえるはずだ。 TEXT BY 森朋之 PHOTO BY Photo by Viola Kam (V’z Twinkle) 『THE KEBABS 〇〇』supported by SMA 50th Anniversary 2024年10月17日 東京・豊洲PIT(出演:THE KEBABS、PUFFY) セットリスト PUFFY 1.Pathfinder 2.これが私の生きる道 3.誰かが 4.君とオートバイ 5.赤いブランコ 6.陽の当たる丘 7.愛のしるし 8.渚にまつわるエトセトラ 9.アジアの純真 THE KEBABS 1.常勝アミーゴ 2.誰かが 3.オーロラソース 4.枕を変えたら眠れない 5.おねがいヘルプミー 6.てんとう虫の夏 7.ゴールデンキウイ 8.THE KEBABSを抱きしめて 9.ジャンケンはグー 10.台風ブンブン 11.ラビュラ 12.やさしくされたい 13.メリージェーン知らない 14.THE KEBABSは忙しい 15.THE KEBABSのテーマ EN1.赤いパーカー EN2.まばゆい EN3.恐竜あらわる
THE FIRST TIMES編集部