マエケンが高い集中力を自覚したキッカケは…
ベテランらしく自分のペースで順調に開幕への調整を進めている。タイガースと2年総額2400万ドル(約36億円)の契約を結び、メジャー9年目を過ごしている前田健太投手(35)だ。オープン戦のマウンドでは余裕たっぷり。しかし、集中力はシーズン同様に高められていた。
それを実感したのが、あるバットボーイの存在。前田に帯同し、タイガースにマッサージセラピストとして入団した松本悠平さん(28)が3月17日のオリオールズ戦でバットボーイを務めていた。
「ちょっとイジろうかなと思うんですけど、やっぱりマウンドに上がるとほんと忘れる。(投球に対して)むちゃくちゃ集中してるんだなって思った。そこに自分でびっくりしてます。自分の集中力というかスイッチの切り替えというか」
松本さんは、自主トレから帯同するなど気心知れた間柄だ。2023年からツインズに入団し、前田をサポートしている。前田が3度目のオープン戦登板に臨んだ3月12日の相手はツインズ。昨季まで4シーズンを過ごした古巣が相手だったため、松本さんがバットボーイとして指名された。前田もその試合で4回1安打無失点と好投したため、ゲン担ぎの意味合いも込めて「またきょうもやろう」という流れになった。
「ボール交換のときに(松本さんに向かって)ボール投げようかな、とか思うんですけど(マウンドに)上がったらやっぱ一気に忘れる。オープン戦ですけど、自分でダッグアウト出た瞬間の集中力があるんだなって。勝手にパッと切り替わるもんなんだなって思いました」
信頼を置くトレーナーの存在が思いがけず自己分析のきっかけになった。3月23日に敵地で行われるブルージェイズ戦で開幕前、最後の登板に臨み、4回2/3を投げ、10安打6失点。それでも開幕前に90球の球数を投げられたことは収穫だろう。開幕第2戦、3月30日のホワイトソックス戦(シカゴ)が新天地の初先発として内定。通常の登板間隔とローテーションなら、2度目の先発は4月5日のホーム開幕戦となるアスレチックス戦が見込まれる。