阪神が新型コロナ”クラスター感染危機”を脱出…感染症専門家にキャッチボール解禁の”許可”さえ相談する細心リスク管理
阪神は藤浪晋太郎、伊藤隼太、長坂拳弥の3人が新型コロナウイルスに感染して以来、濃厚接触者の隔離、球団施設の封鎖、選手寮「虎風荘」の一部選手のホテル、自宅への”避難”などの厳戒態勢を敷いていたが11日、濃厚接触者の2週間の観察期間が過ぎ、感染拡大の”危険領域”を脱出した。それでも兵庫県、大阪府が7日に政府の発令した緊急事態宣言の対象地域となったこともありチームは練習解禁のタイミングには慎重になっている。再発防止に細心注意を払い、NPBとJリーグが合同で設立した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家チームから指定された地域アドバイザーにキャッチボール解禁の”許可”さえ相談している。 阪神の藤浪、伊藤、長坂の新型コロナウイルスのPCR検査による「陽性」判定が出たのが、3月26日。すぐさま3人は入院、球団サイドは、全選手、コーチ、スタッフらの自宅待機を決め、関連施設の消毒、閉鎖の措置を取った。感染者は2度のPCR検査で「陰性」が確認されて回復が認められなければ退院できないが、最初に伊藤が5日に退院、続いて藤浪が7日、長坂が8日に退院した。 感染時に名前の公表を申し出ていた藤浪は、球団を通じて「多くの方々に多大なご迷惑とご心配をお掛けしたことを深く反省し、おわび申し上げます。今後はプレーでファンの皆さまの期待に応えることができるよう、より一層野球に精進してまいります」とコメントしている。 だが、その間、長坂と選手寮「虎風荘」の食堂で食事を共にし、保健所から濃厚接触者として指定されていた小幡竜平が発熱を訴えてPCR検査を受け「虎風荘」内での”クラスター感染”が不安視された。だが小幡は「陰性」判定。徹底した封じ込め対策が実り、その後、寮内の濃厚接触者を含めて、異常を訴える選手、関係者が一人も出ず、厚労省が定めている2週間の観察期間が過ぎたため、10日の段階で保健所からも、もう連絡を取らなくてもいいとの通知を受けた。 すべてがクリアになり”クラスター感染”の危険を脱したわけだが、正確には、まだ完全にクリアと言えないのが、この新型コロナの厄介なところだ。「陰性」から「陽性」に転じるケースもあり「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家メンバーである東北医科薬科大の賀来満夫教授も「PCR検査で2回陰性になっても、いろんなケースがあって新型コロナウイルスが体内に残る可能性は否定できない」と語っていた。 球団サイドも、その状況を理解しており、引き続き厳戒態勢を敷き、完全休止状態となっている練習の再開に関しても「慎重に進めたい」という。 実は、球団は、全員に禁止指令を出していたキャッチボールの解禁についてさえ感染症の専門家である地域アドバイザーに相談した。徹底した消毒などを条件に練習再開後の”GOサイン”をもらったが、キャッチボールは、いわゆるソーシャルディスタンスの2メートル以上の距離を取るため、そう問題はないと考えられていたもの。3人の感染者を出してしまった阪神は、そこまでの万全の配慮をしてチーム再始動の準備を進めているのだ。 さらに球団サイドは、他の細かな部分まで地域アドバイザーにひとつひとつ確認を取っている最中だという。