JX金属、100%リサイクル電気銅を上市。国内銅製錬業界初・CFP低減などに寄与
JX金属は31日、第三者認証機関の協力の下、マスバランス方式を用いた100%リサイクル電気銅を上市すると発表した。ユーザーが使用済み製品などから回収した銅を再びユーザー製品に戻すことが可能な「クローズドループ」型の商品と、同社が市中から収集した原料で供給する商品の2種類の100%リサイクル電気銅を扱う。いずれも国内銅製錬業界で初の試み。2024年度中に上市し、パンパシフィック・カッパーから販売する予定。すでに一部のユーザーと試験的な取引に向けた協議を開始した。 「PCL100/mb」と「MR100/mb」の2種類の100%リサイクル電気銅を販売する。PCLはユーザーが回収した使用済み製品由来をはじめとするリサイクル原料に含まれる銅の相当量を、100%リサイクル電気銅として返還する。従来から電気銅はリサイクル原料と銅精鉱を混合して供給してきたため、同スキームでも製錬・リサイクルプロセスは変わらないが、同スキームによって原料トレーサビリティが明確で、カーボンフットプリント(CFP)の面で優位性のある、従来品質と変わらない100%リサイクル電気銅を供給できる。「資源循環」と「脱炭素」という社会課題の解決策を同社とユーザーが共創していく先進的な取り組みとする。 MRは同社グループの回収ネットワークを通して市中から収集したリサイクル原料をもとに、マスバランス方式を用いた100%電気銅を供給するもの。クローズドループ・リサイクルではない点はPCLと異なるが、その他の点は同様の特徴を有する。 供給量は顧客との協議を進める上で決まるが、現状のリサイクル原料比率が2割程度であることから、足元でのMRの供給力は全生産量に対して2割程度有していることになる。CFPは従来の電気銅の2分の1から3分の1程度に下げられる見込み。リサイクル原料投入量を割り当てるスキームのため、生産コストに大きな影響はない。販売価格にプレミアムを上乗せするかは未定としている。なお、同コンセプトの実行管理体制の妥当性については第三者認証機関による検証作業を進めている。 供給先としては、EV化や電装化が進む中、安定供給と低環境負荷製品のニーズが高まる自動車向けのほか、一般消費者の環境意識の高まりを受け、パソコンやスマートフォン向けなどでも需要が高まると見込む。なお、同社では同商品の社会実装を目指す活動を「Cu・again(シーユーアゲイン)」プロジェクトとして始動する。