ダークチョコレートは高血圧のリスクを下げる
ダークチョコレート(カカオ含有率が高いチョコレート)の摂取が高血圧のリスクを下げることが、6万人あまりが参加する英国の観察研究の解析(*1)で明らかになりました。 ●ダークチョコレートと心臓・血管系の病気の関係は? ダークチョコレートには、フラバノールやメチルキサンチンなど健康に良いとされる成分が含まれており、心臓や血管に好ましい影響を及ぼすことを示唆する研究報告もあります。しかし、ダークチョコレートの摂取と心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)のリスクの間に因果関係があるかどうかは明らかではありませんでした。 そこで中国紹興市人民病院のJuntao Yang氏らは、ダークチョコレートの摂取と心血管疾患リスクの関係を調べるために、メンデルランダム化解析を実施しました。 【メンデルランダム化解析とは】 メンデルランダム化解析は、遺伝情報を利用して、ある事象の因果関係を検討する分析法。倫理的に無作為化試験を行うことが不可能な場合などに、観察研究のデータから因果関係を検討することができる。 例えば、「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールを高める治療が心筋梗塞リスクを低減するかどうかを検討する場合、無作為化試験を行うなら、背景がよく似た人たちを大勢登録して、「HDLコレステロールを高める治療薬を飲む群」または「偽薬(プラセボ)を飲む群」のいずれかに無作為に割り付けて長期間追跡し、心筋梗塞の発症率を比較する。 一方、メンデルランダム化解析は、HDLコレステロールが高値になる遺伝子を持つ人とそうでない人を追跡して、心筋梗塞の発症率を比較する。全ての遺伝子は授精時点でランダムに振り分けられる、という前提に立つこの方法は、HDLコレステロール高値に関係する遺伝子以外はメンデルの法則どおりにランダム化されていると見なし、そうであれば、HDLコレステロール値に関係する遺伝子を除いて、1人1人の参加者の特性(生活習慣など)の分布は等しいと想定して分析する。