陰謀論者は“歪んだ承認欲求”で社会を分断している
陰謀論は民主主義を破壊する
陰謀論はコミュニティにおける相互理解を分断して、コミュニケーション不全を引き起こすディープステート信奉は、現実社会における認知の枠組みの共有を阻害し、建設的な政策議論を不可能にする。反ワクチン信奉は、家族内でも友人間でも相互信頼を破壊して、社会関係を不可能にする。 陰謀論は人びとの間の対話を困難にさせることにより、そのコミュニケーション的行為によって成立する民主主義を破壊するように機能するのである。 陰謀論の伝播自体が民主主義の破壊工作であり、民主主義社会における分断を防ぐために、私たちはこの陰謀論の伝播を防がねばならない。そのために必要なことは、陰謀論を形成するフェイクニュースやデマを見抜くメディアリテラシーをもつことであり、市民のメディアリテラシーを高めるために、ジャーナリズムや教育がファクト・チェックの機能をもつ社会を構築することである。 私たちが日々接しているネットニュース、SNSのメッセージに対して、「このニュースは真実か」「このメッセージは陰謀論ではないか」、それをつねに気にしながら情報を批判的に解釈する姿勢が現代人に求められている。これが陰謀論とフェイクの時代のメディアリテラシーであり、私たちの自由や民主主義を守るために、不可欠な態度となるだろう。
福田充(日本大学危機管理学部教授)