スマホ進化の裏で「増える続ける廃棄物」、持続可能な処理策は
「廃棄物からエネルギーを生み出す」計画
さらに気候変動、生物多様性の喪失、大気汚染という「トリプル・クライシス(3つの危機)」に触れ、「経済的なコストだけでなく、環境に関わる多くのコストも払う必要がある」と語った。「エネルギーと物質のどちらを欠いても我々は生きていけない。それらを生み出し、消費する方法を再構築する必要がある。脱炭素化は極めて重要で、エネルギーや物質を消費した後のことに考えをめぐらせる必要がある」と説いた。 ジャンはエネルギーと物質の生産の「ループを閉じる 」こと、そして「循環型経済 」と呼ぶものを作り出すことについても語った。そして「私は物事を非常に効率的に進めることを好む」と述べ、「これらを同時に可能にする方法はあるのだろうか」と続けた。 ジャンによると、化学処理は持続可能な循環を生み出すのに役立つという。ジャンは、廃棄物から不要な物質を取り除いていく工程を利用して送電網に電気を供給する「廃棄物からエネルギーを生み出す」計画について語った。 ■廃棄物を燃やして発電する 廃棄物を燃やすことで年間660万トンもの灰が発生しているとジャンは指摘する。 米マサチューセッツ工科大学(MIT)は灰を調べてその化学組成を分析し、ライフサイクルにおける物質の流れを理解するためのマップを作成している。 価値の高い素材にターゲットを絞り、再生可能エネルギーを利用することで、廃棄物を持続可能な方法でオンサイト処理できる可能性がある。 ジャンは発電で大きな価値が生まれると指摘し、ある自治体の例を紹介した。その自治体では電力を1キロワット時あたり5セントで売り、年間480万ドル(約7億円)の収入を得たという。 「私たちはクローズドループを持っている」とジャンは似たようなプロセスについて語った。「廃棄物は一切出ない。水質汚染も最小限に抑えている。私たち自身と子孫のために、共に今よりもすばらしく緑豊かな地球にしよう」と呼びかけた。 AI新時代を迎えるにあたり、こうした解決策の検討に時間を費やす価値はある。インターフェースがどのようになろうとも、私たちがスマホを使い続けたり、他のものを使うようになったりしても、テクノロジーに廃棄物が付いて回ることはほぼ間違いない。この点に関するMITの研究者らの取り組みに私は大きな期待を寄せている。
John Werner