リンゴ新品種「麒麟児」が品種登録 弘前大と静岡大研究 大玉で甘み、酸味好バランス
青森県弘前市の弘前大学は31日、リンゴの主力品種「ふじ」から発生した新品種「麒麟児(きりんじ)」が新たに品種登録されたと発表した。ふじと比べて1.5倍以上実が大きく、収穫期が10月中旬と半月ほど早いのが特徴。麒麟児の特徴を研究する弘大藤崎農場の林田大志助教(果樹生理学)は「大玉で甘みと酸味のバランスが良く、将来は全国展開や輸出もできる品種にしたい」と語った。 麒麟児は、鳥取県八頭町の日本梨生産者丸山茂さん(99)が2009年、自身の農園にあるふじの木に大きな実がなっているのを偶然発見。ふじとは異なった形質を持つ品種で、弘大と静岡大学が品種登録に向け、葉や花の特徴などを共同研究した。20年に出願し、今年9月17日付で品種登録が実現した。 品種名は、発見地の同県東部に伝わる伝統芸能「麒麟獅子舞」(国指定重要無形民俗文化財)からとった。麒麟児には「将来性のある若者」の意味があり、食べた若者が大成して欲しいという思いも込められている。 麒麟児の木は、弘大藤崎農場に6本あり、年約600キロほど収穫される。今後、苗木業者と苗木の供給に向けた交渉をする予定。 11月9日には、静岡市にあるスーパー「田子重」下川原店で試験販売を行う。青森県での販売時期は未定。林田助教は「『地域連携で品種登録したリンゴ』という物語性がある。多くの人に楽しみながら作ったり食べたりしてもらいたい」と話した。