野球にはいろんな「神様」がいる【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第133回
大谷翔平選手がすごいことになっています。この原稿を書いているのは木曜日ですが、前人未到の「50-50(50本塁打・50盗塁)」を前週に達成した上に、イチロー選手の日本人最多盗塁記録に並ぶ56盗塁を記録しました。 右ひじのケガの影響で今季は打者に専念すると知った時、正直なところここまでの活躍は予想できませんでした。野球の神様と言われたベーブ・ルースと比較されたほどの稀有な才能は、もはや「生ける野球神」と呼んでも異論は出てこないかもしれません。 20年後に、大谷選手を知らない子供に私たちが彼の偉業を伝えたとしても、信じてもらえないかも。それくらいのすごい記録。私たちは歴史に残る偉業を目の当たりにしているのです。 ベーブ・ルースが代表的ですが、野球界には"神様"がたくさんいます。日本でも、新聞などで「神様・仏様・稲尾様」という呼び名が定着していましたね。 近年では、バントの世界記録を達成した元巨人・中日の川相昌弘さんが「バントの神様」と呼ばれていました。通算バント成功率は9割超え。2024年度のプロ野球のバンド成功率が80%程度ですから、まさに神業です。バント成功率が高くなれば、次に強打者を置けば得点の期待も高まります。神様の存在は、采配をも変えたと言っていいでしょう。 「代打の神様」といえば、川藤幸三さんや桧山進次郎さん、八木裕さんなど元"猛虎戦士"の名前がたくさん挙がりますが、現役で活躍している選手の中では我がヤクルトの川端慎吾選手もそれに当たります。 9月25日の広島戦でも代打でタイムリーヒットを放つなど、その勝負強さを見せてくれました。昨シーズンは代打で3割2分と好成績を残しており、ヤクルトファンは川端選手が打席に立つたびに期待を抱きます。そして、必ず応えてくれます。 ヤクルトの歴代選手の中では、真中満さんが2007年シーズンに代打で31安打という記録を残しています。これはプロ野球における最多代打安打。さらに、代打起用回数98回もプロ野球最多です。