「前畑遺跡」福岡県の土塁状遺構が国史跡に指定へ…「大宰府」政庁跡付近に存在、国家的な構造物の可能性
国の文化審議会が20日に行った答申で、福岡県筑紫野市の土塁状遺構「前畑遺跡」(約9500平方メートル)が国史跡に指定される見通しとなった。九州を統括していた行政機関「大宰府」の政庁跡(福岡県太宰府市)付近に存在していることから、国家的な構造物だった可能性もあるという。 【写真】土塁状遺構の断面(筑紫野市教委提供)
県教育委員会によると、前畑遺跡は2015年に筑紫野市教委の調査で確認され、西鉄天神大牟田線・筑紫駅南方に一部が現存している。
7世紀~9世紀頃のものとみられ、同時期に存在した大宰府政庁跡の南東約7キロに位置している。当時は558メートル以上におよぶ大規模な土木構造物だったと考えられており、大宰府との関連がうかがえるという。
最大の特徴は丘陵の上に築かれている点で、朝鮮半島の土城に共通する土木技術も確認されている。水城跡や大野城跡などとともに、政庁跡周辺の境界を構成していたと考えられている。
筑紫野市教委の担当者は「当時の大宰府政庁周辺の構造を考える上で重要な遺跡。多くの市民の方に知っていただきたい」と話した。
前畑遺跡が指定されると、県内の国指定史跡は99件となる。