「さすがに奥さんはまだ乗るの?と呆れていますが……(笑)」キャンバストップが特徴的な1台。だけど今回はめずらしいサンルーフ付き|1992年式 フォード フェスティバ GT-X
旧車好き、ハチマル車好きであればこのクルマの持つ特異性を分かってもらえるであろう。フォードの冠が付いているが実際はマツダ製。ファミリアやロードスターなどハチマル世代のマツダ車にはおなじみのB型エンジンを初めて搭載した車種でもある。マツダが開発し、海外向けは主に韓国の起亜が生産して、フォードの販売網で発売された。 【画像16枚】マツダがフォードと資本提携していた時代に誕生したヨーロピアンな小型ハッチバックモデル。存在時代がマニアックなこのクルマを20年以上、そして28万㎞も乗り続けるオーナーが存在する マツダとフォードの資本提携は73年のオイルショックに端を発し79年に資本提携。クロノスの悲劇後、フォードの完全子会社となったマツダだったが、2008年のリーマンショックでフォードが株を売却。その後、独自技術力中心の戦略が当たり、他社を頼る必要のなくなったマツダに対し2015年にフォードが全株式を売却。40年に渡るフォードとの関係を断ち切ることになった。 長くフォードとの関係を築いてきたマツダはバブル期に5チャネル化を行い、フォード車を中心に販売を行うオートラマ店(のちのフォード店。2016年に営業終了)を設立。ファミリアベースの海外向け小型車レーザー、カペラベースのテルスターとともに新規開発したフェスティバを販売。 小型でパワフル。ファッショナブルな広告宣伝効果と欧州的なシンプルさが若者にウケたフェスティバは、当時高級路線にシフトしていたマツダの戦略とは裏腹に、この時期のマツダにとって数少ないヒット車両となった。 搭載されたB型エンジンは発展をとげてGT-Xや丸型ヘッドライトのGT-Aが登場。その後、モデルチェンジした2代目が大失敗。3代目はOEM車となり、2002年に車名は消滅した。
通勤にも家族旅行にも活躍! 走行距離は28km目前
今回の撮影車両のオーナーは、購入した99年当時にフォードに勤めていた。クルマに関する基本的な整備を学ぶ目的で手に入れたとのこと。しかし、いざ乗ってみるとその面白さにのめり込み、サーキット走行会やジムカーナにも参加。 そんなハードな走りにも対応するため足回りを固めていったが、外観は大きく変えなかった。 「毎日通勤で使用しますし、家族を乗せて旅行にも行くクルマなので、派手なことはできないです」 そう、オーナーの所有車両はこの1台のみ。毎日の通勤、家族との旅行、クルマ系イベント参加をこなしているのだ。 もちろんハチマル車は旧車と違いこのような使い方が可能。しかし、発売から26年が経過し、サーキット走行もして、走行距離は28万kmに達しようかというクルマ。 「さすがに奥さんはまだ乗るの?と呆れていますが……(笑)」 そんなオーナーのフェスティバだが、2016年に2人目のお子さんが誕生し、クルマには2つ目のチャイルドシートが追加された。 前席にはオーナーと長男、後席には奥さまと長女。子供たちにとって最初のクルマであり、とても気に入っているフェスティバは、まだまだ活躍する予定だ。 フォード フェスティバGT-X(DAJPF) 主要諸元 Specifications ●全長×全幅×全高(㎜) 3580×1615×1460 ●室内長×室内幅×室内高(㎜) 1705×1315×1205 ●ホイールベース(㎜) 2295 ●最低地上高(㎜) 160 ●トレッド(㎜) 1400/1385(前/後) ●車両重量(㎏) 800 ●エンジン型式 BJ型 ●エンジン種類 直列4気筒DOHC ●総排気量(㏄) 1290 ●最高出力(ps/rpm) 88/7000 ●最大トルク(㎏-m/rpm) 10.0/4500 ●サスペンション 前ストラット式/後トーションビーム式 ●ブレーキ 前ディスク式/後ドラム式 ●タイヤサイズ 前:175/60R13 後:175/60R13 初出:ハチマルヒーロー vol.46 2018年 3月号 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
Nosweb 編集部
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