「自分は見捨てられたのではないか…」”上司代行”の指導を受けた部下の「意外な心境の変化」
「上司代行」導入の際に注意すべきこと
さらには、もとの上司が部下にどこまで指示をしていいかわからず、仕事を抱え過ぎてしまう、「これまで自分が行ってきた指導が間違っていたのではないか」と自信をなくしてしまうようなケースも散見される。そのため上司代行ともとの上司の連携や信頼関係の構築が不可欠になる。 自身が「もとの上司」の立場である際は、上司代行と情報の共有をきちんと行い、また上司代行を自身もうまく活用するような姿勢が必要となりそうだ。上司代行と自分のことを比較するのではなく、部下と信頼関係を見直したり、自身のキャリアを客観的に見る機会だと意識を転換することが、不具合解消の秘訣となる。 また、全ての人間関係にいえることだが、相性のミスマッチによる不具合も起こり得る。上司代行と信頼関係を構築できず、うまく悩みを相談できなかったといった消化不良のケースもあるようだ。 「上司代行と部下は、短い期間で、バックボーンも知らずに接することになります。そのため、徐々に信頼関係を構築するのではなく、最初から“馬が合う”性格である方が効果が出やすいのです。そのため、必ず3名以上の候補と面会してもらい、もっとも合う人と組んでいただくなど工夫しています」 (株式会社Hajimari メンタープロパートナーズ事業責任者 高橋氏) このように、上司代行のシステムをうまく成長に結びつけるためには、周辺環境の整備やマインドセットも重要となりそうだ。
労働人口減少時代の「特効薬」にするには…
「上司代行」を目新しいものととらえる人も多いだろうが、それは日本人特有の感覚によるものかもしれない。 「ジョブ型雇用であるアメリカなど諸外国では、上司代行の制度は、かねてより当たり前のものとなっています。アメリカでは『メンタープログラム』として、ビジネスだけでなく教育や趣味の分野でも、第三者が上司(もしくは指導者)となることが一般的です」 (株式会社Hajimari メンタープロパートナーズ事業責任者 高橋氏) 今後導入が進むことで、違和感は軽減されそうだ。 * * * 少子高齢化が進み、労働人口が減っていく日本において、「特効薬」となる可能性を秘めた「上司代行」。 ただし、そのメリットを享受するためには「もとの上司」の理解と、何より部下自身がそれを自らの成長のチャンスと捉えるマインドが必要となる。上司ですら代行できる時代であっても、当事者である本人の代わりはいないのだから。 ……・・ 【もっと読む】人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」
マネー現代編集部