「自分は見捨てられたのではないか…」”上司代行”の指導を受けた部下の「意外な心境の変化」
自社の上長ではなく、外部から来たプロフェッショナルが上司となり、社員の育成を行う「上司代行」サービス。 【写真】人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」 前編記事〈若手社員の8割近くが「管理職になりたくない」…リーダーが育ちにくい時代の「上司代行」の可能性〉では、その意外なニーズと効能に迫った。 後編では、「上司代行」サービスを導入した企業の社員の反応と、メリットの裏にある注意すべき点について、引きつづき株式会社Hajimariメンタープロパートナーズ事業責任者の高橋氏に話をうかがった。
「上司代行」を受けた部下の反応は?
現在、100社以上が利用するなど徐々に広がっている「上司代行」だが、導入に懐疑的な声もある。例えば、「部下が上司代行の指示しか聞かなくなる」「育ってすぐに会社を退職してしまう」といったケースはないのだろうか。部下側の反応を見ていこう。 「上司代行の指導を受けると聞いた部下の方には、当初は『社内で育成してもらえず、自分が見捨てられたのではないか』『自社のことを知らない人に指導を受けるのはどうか』などと、抵抗感もあったそうです。しかし実際に指導を受けてみると、社内にないノウハウが得られて力が付いたと実感できたそうです。 また、長期的なキャリアプランについて相談できることも好評でした。もちろん成長に差はあるものの、上司代行を受けた社員のモチベーションは基本的に高まり、企業への帰属意識が高まるケースも散見されます。 一言でいうと、上司代行がつく機会をラッキーだと捉える社員が多いのです。上司代行が単なるスキル向上だけでなく、組織と個人の絆を強める効果もあることは、予想以上の効果でした」(株式会社Hajimari メンタープロパートナーズ事業責任者 高橋氏)
「第三者の意見」だから素直に聞ける
また部下側からの好意的な意見として最も多かったのは「第三者の意見は素直に聞ける」というもの。 直属の上司とやりとりするとき、部下は無意識のうちに「この人が自分の評価を握っている」「昔怒られたことがある」などとフィルターがかかった状態で接してしまいがちだ。そのため、ときにはミスを報告できない、悩みを素直に相談できないということも起こってしまう。 それは上司側も同じで、人によってレッテルを貼った評価をしてしまうこともありうる。組織で働くビジネスパーソンならば、このような状況を味わうこともあるだろう。 ただし、上司代行を導入すると、あらゆる問題が解決するかというとそうでない。うまく活用しなければ、不具合も生じる。そのひとつが、もともとの直属の上司側の問題だ。 上司代行による部下の成長を促進するためには、もとの上司からの適切なアシストが不可欠。部下はどのような特性を持っているか、そして部下をどのように成長させたいのかを、きちんと上司代行に伝えられなければ、上司代行もうまく指導ができず、その効果が発揮できなくなる。