【バイク・インプレ】ヤマハ「MT-25」|街乗りからツーリング、スポーティな走りまで楽しめる250ccネイキッドの定番モデル
スポーツランで威力を発揮する倒立フォーク
MT-25の実車を前にして、まず目に付くのが獰猛な印象のフロントフェイス。ヘッドライトをLED化したことでデザインの自由度が高まり、従来とはまったく違った顔つきになった。タンクカバーの幅も約5cm広げてマスフォワードデザインを強調。ミドルクラス並みの存在感を得ている。 【写真はこちら】「MT-25」の全体・各部・走行シーン(17枚) だが、注目すべきなのは倒立フロントフォークの採用。倒立フォークは剛性向上に効果的だが、ストリートユース前提のMT-25にマッチするのかが気になるところだ。 試乗すると、街乗りでは倒立フォークの優位性はほとんど感じられない。バネ下重量が減っているので路面追従性は上がっているが、高剛性と引き換えに乗り心地は少し硬く、低速域での軽快感も薄れたように感じる。ただ、ハンドル位置が44mm高くなって上体の前傾度が減り、ギャップ通過時に手首や腕が突き上げられることはない。 ペースを上げていくと、倒立フォークのメリットがようやく出てくる。フルブレーキングからフルバンク、という走りでもフロントがバタつかず、ジワッと沈んでストロークの奥でグッと踏ん張り、ブレーキを残したまま寝かし込んでもフロンフォークの捩れは出ない。タイヤの接地感も明確に伝わり、安心してスポーツライディングを楽しめるのだ。 つまり、MT-25の操縦性は低速域での軽快感と優しい乗り心地を削って、中高速域でのダイレクト感と安定性に振り分けつつ、ハンドル高を上げて街乗りやツーリング適性も確保したもの。乗り込むほどに納得する設定なのだ。 ちなみに、MT-25と兄弟モデルのMT-03との間に基本的なハンドリング性能の違いはない。街乗りメインや体重の軽いライダーは、リアサスペンションのイニシャルを1~2段弱めれば快適性は向上するだろう。ともに幅広いステージに対応する車体に仕上げられている。
太田安治