令和最初の“劇的ゴール”を決めたジュビロ磐田のロドリゲスは問題児になりかけていた異色新外国人
令和時代のJ1初ゴールは、横浜F・マリノスのFW仲川輝人(26)が決めた。同じくJ1初勝利も数分の差でマリノスが手にしたが、ドラマチックさならジュビロ磐田に軍配が上がる。令和初となる後半アディショナルタイムの決勝ゴールで、平成時代の最後に喫していた連敗を3で止めた。 「サッカーはやっぱりずる賢くやらなきゃいけない。時には休んでいる振りをして相手のボールを奪うとか、そういうプレーを見せなきゃいけない。あのシーンに関しては、そういうゴールだった」 5万3361人の大観衆が詰めかけた埼玉スタジアムで、浦和レッズと対峙した3日の明治安田生命J1リーグ第10節。0-0で迎えた後半48分に、令和における外国籍選手第1号ゴールを決めたジュビロのルクセンブルク代表FW、ジェルソン・ロドリゲス(23)が胸を張った。 敵地を沈黙させた一撃は思いがけない展開から生まれた。最終ラインに下がったレッズのアンカー、青木拓矢(29)に左タッチライン際でボールが渡るも、パスの出しどころがない。しかも、途中出場で27歳にしてJ1デビューを果たしたFW中山仁斗が執拗にプレッシャーをかけてくる。 仕方なく反転した青木は、守護神・西川周作(32)へのバックパスを選択した。しかし、背後に敵がいることに気がついていなかったのか。パスが短く、球足も弱い。瞬時にしてロドリゲスへの絶妙のスルーパスへと変わり、右足から放たれたシュートが正確無比にゴール左隅を射抜いた。 足元の技術が高い西川が11人目のフィールドプレーヤーとなるレッズは、バックパスを多用する。そうしたスカウティングをもとに、ジュビロを率いる名波浩監督(46)は「バックパスの質は高いし、なかなか食えるタイミングはないけど、狙いはもっておこう」と試合前に指示を出していた。 もしかすると訪れないかもしれないチャンスを、集中力を途切れさせることなく待ち続けた。その結果として成し遂げた大仕事と手にしたヒーローの座を、ロドリゲスはチームメイトたちに捧げた。 「運が傾いてきたと思えるようなゴールだったけど、自分だけの力で決められたわけではない。みんなの頑張りがあってこその自分の決勝ゴールだったと思っているので」