令和最初の“劇的ゴール”を決めたジュビロ磐田のロドリゲスは問題児になりかけていた異色新外国人
身長182cm、体重81kgのボディにスピードと強さ、巧さを搭載した新外国人は、つい1ヵ月前はどん底のメンタル状態にあえいでいた。名波監督の言葉を借りれば「我々とコミュニケーションが取れなくなってしまった」となるから、関係の悪化ぶりが尋常ではなかったことが伝わってくる。 発端は3月9日の大分トリニータとの第3節にある。DF大南拓磨(21)が前半30分に退場処分を受ける緊急事態で、名波監督は開幕から先発起用してきたロドリゲスに代えてDF櫻内渚(29)を投入する。攻撃陣を削るさい配はセオリーだったが、23歳のホープは受け入れられなかったのだろう。トリニータ戦後の変化を、指揮官は苦笑いしながら振り返る。 「メンタルの浮き沈みがちょっと激しくなったので、続く第4節は鳥栖(のアウェイ戦)へ連れて行かず、ルクセンブルクへ戻しました。国際Aマッチを戦って、リフレッシュして戻って来い、と」 ユーロ2020予選に臨むルクセンブルク代表に招集されていたロドリゲスは、ともにホームで行われた3月22日のリトアニア代表戦、同25日のウクライナ代表戦で先発フル出場。特に前者の後半10分には待望の代表初ゴールとなる勝ち越し点を決めて、母国の勝利に貢献した。 そして、開幕から不振にあえぐジュビロの力になろうと、気合いも新たに再来日してから中2日で迎えた鹿島アントラーズ戦で、再びベンチ外となる。日本への長距離移動による疲労と時差ぼけが考慮されたが、生まれて初めてヨーロッパ以外の国でプレーするロドリゲスには上手く伝わらなかった。 ロドリゲスも「自分にとっては、少し難しい時期があった」と、ジュビロへの熱き思いと目の前の非情な現実の狭間で激しく揺れ動いていた、アントラーズ戦後の心理状態を振り返る。若さもあって感情を上手くコントロールできず、暴走気味になった部分もあったはずだ。 もっとも、ターニングポイントはすぐに訪れた。4月に入って、ジュビロの強化部はロドリゲスおよび代理人と話し合いの場をもった。トリニータ戦以降の経緯を含めて、ロドリゲスが置かれてきた状況がしっかりと説明されると、ポジティブな変化が生じたという。名波監督が続ける。 「そこ(話し合い)からは180度変わってやる気が出てきたと思う。パフォーマンスも急転してよくなっているし、これからも続けていってほしい」