50歳以上の婚活盛んに 未婚者、熟年離婚の増加影響 コロナ禍も背景に
結婚相手を探す「婚活」に取り組む50歳以上が増えている。結婚相談所や婚活アプリへの登録が増加。熟年離婚や未婚者が増えていることが要因とされるが、新型コロナウイルス禍も影響しているという。この「活況」の背景を取材した。 【写真】50代 婚活に走る理由は 市場活況 当事者の男女に聞く ■寂しい老後をリアルに 全国に結婚相談所を展開する日本仲人協会(東京)によると、新型コロナウイルスが流行しだした2020年以降、50歳以上のお見合い数と成婚数が、19年までの1・2~1・3倍程度で推移しているという。 今年1~2月、同協会に登録する婚活アドバイザー81人が答えたアンケートで、会員から聞いた「婚活を始めた理由」(複数回答可)は、「コロナ禍を機に一生独身のままが不安と感じた」(58・4%)、「子育てが落ち着いた」(29・8%)、「パートナーに先立たれて、この先に不安を感じた」(25・9%)の順に多かった。 同協会の担当者は「コロナ禍の外出自粛で、人との接点がなくなり、寂しい老後をリアルに感じたのではないか」とする。 ■アプリを使ったことがない人も 婚活マッチングアプリを運営する「マリッシュ」(東京)によると、会員約300万人のうち、約80万人が50歳以上。うち約56万人が、コロナの流行が本格化した20年3月以降に登録したという。 会員に占める50歳以上の割合は、かつて10%前後だったが、ここ数年は25%以上で推移する。 アプリは再婚希望者や子連れの婚活者も積極的に支援しており、同社の担当者は「今までアプリを使ったことのなかった世代も、婚活に挑戦するようになった。実際に成婚に至るケースも増えている」と説明する。 ■熟年離婚が増えて 婚活する50歳以上が増えているのは、離婚者や未婚者・非婚者の増加が影響しているという。 厚生労働省の人口動態統計によると、1995年は離婚カップルのうち、別居時に夫が50歳以上だったのは約2万件、妻が50歳以上だったのは約1万3千件だったが、2022年には夫が3万6千件、妻が2万7千件と、それぞれ2倍近くに増えている。 日本仲人協会によると、女性の社会進出が進み、経済力のある女性が増えたことや、団塊の世代の子育てが終わり、熟年離婚が増えたことが要因とみられるという。 また、国勢調査によると、50~69歳の未婚者は00年に約178万人だったが、20年には約429万人と2・4倍になった。未婚総数に占める50~69歳の割合も、00年の6・0%から、20年には15・1%と2・5倍になっている。 姫路市で結婚相談所「姫路城北マリッジサポート」(姫路市)を運営する仲人士の名田貴子さん(50)は「50歳以上で婚活する人が増えているということは、チャンスが広がっているということ。結婚したい気持ちがあるなら、ぜひ婚活を始めてほしい」と話す。(斉藤正志)