「戦争に慣れることは不可能」ウクライナ・ドニプロ市長インタビュー : 民主主義国家の努力が悪の枢軸のネットワークを打ち破る
ロシア軍とウクライナ軍による激しい戦闘が続くウクライナ南東部。前線から約100キロの100万人都市・ドニプロ市には、周辺の危険地域から19万人もの避難者が押し寄せ、地域住民とともに生活をしている。ロシアからのミサイル着弾におびえながら、人々は日々をどう過ごし、何を願っているのか。4月に大阪市との連携協定のために来日したドニプロ市のボリス・フィラトフ市長にオンラインで現状を聞いた。(聞き手:ニッポンドットコム編集部)
国内2位の避難者の街 男性は人手不足
―ロシアとの戦闘の前線に近い、ドニプロの街の現状を教えてください。 ドニプロは、ドネツクやへルソンなどロシアとの戦闘が続く地域やロシアに占領された地域に近い内陸の街で、約19万人が避難して来ています。避難者数は首都キーウに次ぐ国内第2位です。軍事作戦の犠牲者や負傷兵も多く運ばれてきます。もともと重工業と化学工業が盛んな国内第3の都市ですが、2014年にロシアによるクリミア侵略が始まると、キーウと前線の間にある最大の物流中心都市としての役割が強まりました。22年2月の侵攻以降は、軍事、医療、生活などにおける戦略拠点になっています。 ―避難者19万人とは、中規模以上の都市の人口を急に受け入れた計算になります。 絶えず避難者が来るため、医療サービスや情報伝達などの面で、地域の負担が重くなっています。市当局は、そういった中でも全ての都市機能を従来通りに動かすよう努力しています。軍隊に入る男性が増えたことで、企業は人手不足になっています。公共事業や運輸部門など、伝統的に男性が働いてきた職場では、女性の労働力で補完する必要があります。
危険避け地下鉄構内で催し
―戦争は2年半近くも続いています。住民に娯楽はあるのでしょうか。 コンサートなど大規模な催しは禁止されています。砲撃やテロ行為から身を守るためです。小規模なコンサートやパフォーマンス、公共イベントは地下鉄駅構内で開かれます。地下鉄駅は改装し、ステージを設置しています。週末には、住民が公園などに出掛けることもできます。レストランやカフェは営業しており、人々は外食やおしゃべりをして楽しんでいます。