サステナ連動債、芙蓉リースなど7月以降に判定-評価の試金石に
(ブルームバーグ): 環境目標などの取り組み状況に応じ条件が変わるサステナビリティー連動債を巡り、複数の発行体が7月以降に相次ぎサステナビリティー・パフォーマンス・ターゲット(SPT)の判定日を迎えるため、市場関係者の間で同連動債の商品性に対し改めて注目が集まっている。
不動産や航空機などのリースを手がける芙蓉総合リースが2020年12月に発行したサステナ連動債のSPT判定日は7月31日。「グループ消費電力の再生可能エネルギー使用率50%以上」を含む2つのSPTのうち、いずれかが未達の場合は0.38%のクーポンが0.1%引き上がる仕組みだ。
物流に特化した不動産上場投資信託(JREIT)のGLP投資法人は、12月にSPTの判定基準日を控える。ANAホールディングスは23年に判定日を迎え、4つのSPTのうち3つで達成した。
日本銀行が追加利上げに動く前に有利な条件で社債を発行しようと、企業は前倒しで準備を進めている。情報技術(IT)サービス大手のNECや流通大手のイオンが今後数週間以内にサステナ連動債の発行を模索しており、既発債のSPTや目標の達成状況に投資家の目も向きやすい状況だ。
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ブルームバーグのデータによると、国内サステナ連動債の今年の発行額は既に2750億円と過去最高に達している。一方、世界での発行額は186億ドル(約3兆円)と前年比で41%減っており、背景には野心的ではない目標や目標未達時のペナルティーの軽さに対する懐疑的な見方がある。
みずほ証券サステナビリティ推進部ディレクターの香月康伸氏は、日本のサステナ連動債はこれから判定日を迎えるものが多く、「まだ本格的に商品性がテストされてない」と指摘。企業が簡単に目標を達成するケースが相次げば、日本でも海外と同じような議論が起こる可能性はあるとの認識を示した。
グリーンボンド(環境債)などESG(環境・社会・ガバナンス)債の資金使途が特定の環境プロジェクトに集中しているのに対し、サステナ連動債は発行体が独自に持続可能な目標を設定し、クレジット市場から資金を調達する仕組み。発行体が目標を達成できなかった場合は投資家に対し高い利率を支払うか、一部調達資金の特定非営利活動法人(NPO)への寄付をうたっているケースが多い。