<小清水亜美>「狼と香辛料」15年ぶり新作にプレッシャー 「今だからこそできる賢狼ホロを」 “出会い直す”喜び
当時、小清水さんは10代最後の年で「狼と香辛料」のオーディションを受け、ホロを演じることになった。声優として「できない」苦しさを抱えていた時期だったという。
「声優を始めて4、5年で、演技の楽しさを感じられるようにもなっていたんですけど、同時にいろいろなことがやっと理解ができるようになった時期でもあったんです。先輩たちがやっていることのすごさを、漠然とではなく、分析して細かく理解できるようになって、だからこそ、いかに自分ができていないのかも明確に分かるようになった。でも、そこでもがいてもすぐに手に入れられるものじゃない。今自分が得るべきものははっきりとしていたので、それをホロという役を通して吸収したい、学びたいと思っていました」
もがいていた時期から約15年という時を経て、「本来のホロのあり方って、多分今の私が演じる方が正しい」と感じているという。
「ホロの擬人化した肉体は少女のような若い姿だけど、中身はものすごく長く生きている存在である。今のアプローチは、もちろん若さも意識しながらも、達観したものがあって、“老けない”アプローチというか。私自身が年を重ねているところから若いキャラへのアプローチになっているんです。昔は実物の私が若かったから、そこから大人に向かったアプローチだったので、今回は逆向きなんですよね。原作のホロのキャラクター性としては、今の方向のアプローチが正しいんです。当時は逆にせざるを得なかったというだけで。そこが大きく変わったところではないかと思います」
小清水さんは「今だからこそできるホロを表現したい」と思いを込める。
「いろいろ考えた末に思ったこととしては、当時のまんまやるんだったらコピペでいい。あと、これは突き放しているという意味ではなくて、当時のホロ、当時の作品を好きな方は、それをそのまま大事にしてほしいです。今回、新たな『狼と香辛料』では、絵柄も新しくなっていますし、原作からピックアップしているせりふ、描く場面、カメラアングルも違います。同じストーリーではあるものの、見せる面が違うならば、それに合ったホロになりますし、福山さんが演じるロレンスもそうなっているんじゃないかなと思うので、『今作ならではのもの』というものを演じていきたいと思って、取り組ませてもらっています」