<大阪ダブル選>数字で見る大阪の課題 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
大阪府知事選挙と大阪市長選挙が22日の投開票に向けて舌戦が繰り広げられています。どちらの選挙も地域政党「大阪維新の会」(代表は橋下徹大阪市長)公認候補と自民党推薦の候補による激しい戦いが予測されています。このダブル選挙の背景にある大阪が抱える課題を数字で追ってみました。
●経済成長
かつて大阪は「商都」として発展し、住友グループを代表とする大企業の多くが本社を置いていました。しかし東京への一極集中が進んで住友銀行(現在の三井住友銀行)や住友商事が本社を東京へ移したり東京・大阪の二本社体制で重点を東京に寄せたりするなど空洞化が指摘されています。府内総生産は37兆1402億円と全国2位(2011年度の名目)、企業数は全国2位の14万1947社(2009年7月調査)です。 大阪府の経済成長率は、2013年度の早期推計値で、名目が0.8%増、実質が1.2%増でした。リーマン・ショック翌年の2009年度は実質経済成長率がマイナス5.9%。翌年以降は持ち直したものの2012年度は再び落ち込み0%成長に。2013年度には早期推計でプラス1.2%で2年ぶりの増加となりました。ただ全体的には全国平均を下回ることが多い推移でした。 大阪市の成長率は、2012年度の数値で、名目が1.4%、実質でも0.8%のマイナスでした。同年の国内総生産はわずかばかりのプラスでしたから「落ち込んだ」と判断してよさそうです。製造業と卸・小売りの落ち込みが目立ちます。2013年のグランフロント開業や14年の「あべのハルカス」完成などで小売り業の活況が報じられる半面で過当競争という指摘もあり順調に伸びているとは言い難い状況です
●財政
大阪府の2013年度の実質収支は243億円の黒字でした。2000年度は383億円の赤字でしたが、2008年度に黒字に転じ、以降単年度では6年連続で黒字を維持しています。ただ府債残高(府の借金)は増加傾向で、2010年度に6兆円を突破。2015年度は6兆3520億円(当初予算ベースの見込み)と前年度より231億円減少したものの、6兆円台で推移しています。 大阪市の市税収入は2015年度でピーク時の1996年に比べると1378億円も減って6398億円です。前年度より32億円減でもあります。後ほど述べるように低所得者が多いため個人市民税の割合が低いのが特徴です。市債(市の借金)の返済は毎年約2400億円で推移しており重くのしかかっています。単年度の収入不足も200億円から300億円かかっています。