<大阪ダブル選>数字で見る大阪の課題 早稲田塾講師・坂東太郎の時事用語
●高齢化
大阪市の高齢化率(65歳以上が占める割合)は2013年で24.2%。府は24.7%。全国平均の25.1%よりは「若い」のですが安閑とはしていられません。というのも大阪府は全都道府県で3番目に、大阪市は全市町村で2番目に多い人口を抱えており、今後訪れる急速な高齢化で医療、介護といったサービスが破綻する心配があるからです。 大阪府における2040年の高齢化率推計は36.0%。今でさえ介護施設の不足が叫ばれているところを直撃しかねないのです。市では大正区と西成区が高くすでに危険なラインに達しています。大阪府は自営業者数が東京都に次いで多いため自動的に国民年金加入者も多くなります。 1961年に国民皆保険制度をスタートさせた時点で、自営業者は定年がないため軽い負担で少額の支給年金でもやっていけるであろうという見込みがありました。現在は約1万7000円を支払い続けると約6万5000円が65歳から支給されます。しかし巨大ショッピングモールやチェーン店の進出などにより小規模な自営業者は廃業を余儀なくされており、この年金額ではとてもやっていけなくなりました。 介護保険の保険者は市町村。大阪市の介護保険料は比較的大きな20の政令指定都市でもっとも高くなっています。一人暮らしの高齢者や所得の低い人が多いというのがその理由です。 低所得者が目立つ弊害は自営業者や非正規雇用者が入っている医療保険である国民健康保険の維持も困難にしています。現行の制度では市町村単位の運営で所得の少ない者が多いほど厳しくなります。
●生活保護
大阪市の生活保護受給率は「約18人中1人」と全国の「約59人中1人」と比べて際立っています。第一の原因は単身の高齢者世帯が多い点。生活保護の受給者数は全国でも高齢者が最多ですから連れ立っての傾向です。先に述べたように元自営業者が年金で生きていけないという状況が後押ししています。離婚率が高く(政令指定都市で最多)母子家庭が目立つのも要因です。加えて失業率の高さが拍車をかけています。その結果、大阪市の支出のうち生活保護などの扶助費は2015年で5314億円に達し、あらゆる支出のなかで最大となってしまいました。 大阪府でもみても「約29人に1人」が生活保護を受給しています。離婚率は全国3位。失業率も2位です。