【米国株ウォッチ】iPhone 16を発売したアップル、買い替え需要促進なるか?
アップルの株価(ティッカーシンボル:AAPL)は過去1カ月間、ナスダック100指数が約4%上昇したのに対し、ほぼ横ばいで推移している。 同社は最近iPhone 16シリーズを発売したが、初期のデータでは需要が予想より弱いことが示唆されている。例えば、モルガン・スタンレーによれば、発売日から11日以内の注文において、iPhone 16の商品の発注から納品までに要するリードタイムは約15.2日で、iPhone 15が25.7日、iPhone 14シリーズの18日だった。 では、投資家はこのデータについて心配すべきだろうか? 私たちはそうは思わない。 カギを握るのはApple Intelligence リードタイムの短縮は、需要の低迷というよりも、サプライチェーンの状況が改善したことに起因する可能性があることに留意することが重要である。コロナ禍における半導体不足によりアップルが供給制約に直面した過去2年間とは状況が異なり、供給がよりスムーズになった可能性が高い。そして、アップルがより効率的に初期需要に対応するため、単純に生産量を増やしたという可能性もある。 iPhone 16は昨年のモデルから堅実かつ漸進的な改良が施されており、主にカメラとプロセッサーのアップグレードが行われている。Proモデルは以前と比べて若干大きなディスプレイが搭載されるなど、ハードウェア関連のアップデートもあるが、真のゲームチェンジャーは、同社独自の生成AIであるApple Intelligenceだ。これには、Siriの強化、新しい文章作成支援ツール、AIを活用した画像生成など様々な機能が含まれ、今後数四半期にわたって徐々に展開される予定だ。多くのユーザーは、これらの機能が完全に利用可能になるまで購入を控えている可能性があり、このサイクルの後半にかけて売上が増加する余地もあるだろう。 Apple Intelligenceは、最終的にユーザーの買い替え需要を促進する可能性があると考える。Apple Intelligenceの機能を利用できるのはiPhone 16とiPhone 16 Proに限られるからだ。唯一の例外は昨年発売されたiPhone 15 Proで、こちらもアップデートを受ける予定だ。この限定的な後方互換性は、旧型iPhoneのユーザーにとって買い替えを検討する動機付けとなりそうだ。 アップルに有利に働く可能性があるもう一つの要因は、米国の通信キャリアがiPhone 16 Proの販売に意欲的であることだ。ほとんどの場合、以前のiPhone Proモデルを下取りに出してiPhone 16 Proを購入するときの割引額はこれまでと比較して高く、これがより多くのユーザーをiPhone 16 Proへの買い替えに向かわせる可能性がある。Proモデルの利益率が高いことを考えると、これは長期的にアップルの収益性を高める可能性がある。