あなたはできている?語彙力を鍛える習慣と心がけ【チェックリスト付】
語彙力がないと、言いたいことが言葉で表現できない
ビジネスにおいては、頭の中にある意見や考え、アイディアなどを言葉にして伝えなければならない場面、すなわち「言語化力が必要とされる場面」が多いですが、「言いたいことはあるのに、それをうまく言葉にできない」と悩む人が少なくありません。 言語化力を身に付けるためのファーストステップが、語彙力を伸ばすこと。知っている言葉が少ないと、頭の中にある意見や考えにピッタリの言葉が見つけられず、うまく言語化して表現することができないからです。 語彙力は、「知っている言葉の多さ」と「その言葉を使いこなす力」で成り立っています。言葉のバリエーションを増やし、かつそれを使える状態にすることで、自身の意見や考えを的確に言葉にできるようになり、相手に正しい意図が伝わるようになります。
語彙力を伸ばす三大要素=「出会う」「調べる」「覚える」
語彙力辞典など、言葉をとにかく覚えることを目的とした本が数多く出ていますが、ビジネスパーソンとして忙しく働いている人が、言葉の本を読んで一から勉強するのは現実的とはいえません。新しい言葉を取り入れる習慣を日常生活に組み込みながら、即戦力となる言葉を増やすのがポイントです。 ビジネスパーソンが語彙力を伸ばすためには「新しい言葉に出会う」「知らない言葉を調べる」「脳に定着させて覚える」という3つの要素を意識する必要があります。これにより、使える言葉のストックがどんどん増えていくので、この3つをぜひ習慣化していきましょう。
要素1:「言葉に出会う」ための4つの方法
語彙力を伸ばすには、まずは新しい言葉をインプットすることが必要。次の4つの方法で、言葉に出会う機会を増やしていきましょう。 ◇会話をする リモートワークの拡大などで、人と会話する機会が減っている今は、自分で意識しないと言葉がどんどん頭の中から失われていきます。 「スマホでさまざまな情報を収集しているし、SNSで頻繁に会話をしているから大丈夫では?」と思う人もいるかもしれませんが、その言葉は「ヤバイ」「エグイ」だったり、ネット用語だったりと、簡略化された言葉やビジネスでは活用できない言葉が多いのではないでしょうか。そして、いつも見ているサイトや、知り合いとのやり取りだけでは、自分の枠を超えた言葉に出会うのは難しいものです。 言葉の流出を阻止して、新たな言葉との出会いを増やすためには、「人と積極的に会話する」ことが有効です。オンラインは、なるべく余計なことはしゃべらず効率的に話そうという空気感が少なからずあるため、できれば会って会話をしたほうが話の内容が濃くなり、新しい言葉にも出会いやすいでしょう。 勉強会やセミナーなどに足を運ぶのも効果的です。普段仕事でかかわる人とは別の領域の人と会話をすることで、新鮮な「言葉のシャワー」を浴びることができ、新たな刺激も得られるでしょう。 そもそも会話をすることは、言語化力アップに直接的につながります。雑談や会話は、相手の言葉や言外のしぐさを見ながら、こちらの出方を臨機応変に変えなければ盛り上がりにくいもの。「今の言葉では伝わらなかったのかな」「もっとこういう言い方にしてみよう」などというトレーニングが即座にできるのでお勧めです。 ◇体験する 体験することで得た感覚や感情、情報などは、その人独自のものです。オリジナリティのある言葉は、人を惹きつけ、説得力を持って相手の胸に迫ります。持っている言葉に奥行きを生み、深みを増すためにも、積極的にさまざまな体験をしましょう。 体験の内容はどんなものでもOKです。例えば、山に登る、旅行に行く、レストランに行く、美術館に行く、コンビニの新作スイーツを食べる、などなど。ただ、どんな小さな体験であっても、「体験して終わり」にはせず、体験した感想をいろいろな言葉で表現してみることが大切です。 例えば、美術館で絵画を見たときに、「斬新な色使いだな」という感想を持ったら、まずはそれを口に出してみましょう。そのうえで、「斬新」という言葉を別の言葉で言い換えられないか考え、今の自分の気持ちに一番しっくりする言葉(例えば、独創的、奇抜など)を口に出してみましょう。 頭の中にしっくりくる言葉がなければ、辞書などでぴったりの言葉を探してみて、新しい言葉に出会いに行くといいでしょう。 このように、新しい言葉に偶然出会うのを待つだけでなく、体験を機に自ら積極的に言葉に出会いに行く意識を持つことが重要。意識を持てば、すべての体験が新たな言葉との出会いと学びにつながります。 ◇本を読む 本は、新しい言葉や情報の宝庫です。優秀なビジネスパーソンほど、多くの本を読んでいると言われています。 読書する習慣のない人は、ぜひ日常に「本を読む」を取り入れ、新しい言葉に触れる機会を増やしてほしいと思います。本はどんなものでもいいですが、「今の自分にはちょっと難しい」ぐらいがお勧め。7割が既知情報、3割が新規情報ぐらいの割合が理想です。 そして、読書の生産性を上げるために、目的を持って能動的に読む「アクティブ・リーディング」をぜひ実行してみてください。やり方は、次の通りです。 【アクティブ・リーディングのやり方】 1.「自分がこの文章を読む目的」を考えながら読む 2.目次や小見出しがある場合は、事前に目を通して全体を把握する 3.「読み終えたらアウトプットする」(書く・話す・説明する)と決めて読む 4.「なぜ?」「なにが?」「どういう意味?」などつっこみを入れながら読む 5.記憶に残したいところや大事なポイントに、線やマーカーを引く 6.読み終えたら実際にアウトプットする アウトプットは、SNSに感想を書く、サイトにレビューを書く、ノートに気づきや学びをまとめる、誰かに感想を話す、などの方法があります。 これらを実践することで、本に載っている言葉や情報が入りやすくなり、記憶への定着率も高まるでしょう。 ◇脳内アンテナを張る 人間は、意識しているものは目に入ってくるけれど、意識していなければその多くを見過ごしてしまっています。そして、意識している情報は「大事な情報だ」と脳が判断し、積極的に脳に取り込もうとします。 その特性を活用し、「集めたい情報」を意識し脳内アンテナを張ると、必要性の高い言葉や情報を集中的に集められるようになるのです。 脳内アンテナを張るには、「集めたい情報を書き出す」のが有効。書き出すことで意識が強化され、関連する言葉や情報が自然と集まってくるようになります。すぐに使える言葉や情報を効率よく収集することで、話したり書いたりする際の言葉選びの苦労が減り、実のある内容を的確に伝えられるようになるでしょう。