ありがとう、ミスター!ジャイアンツの後輩に伝えたい“心の歴史”【川口和久のスクリューボール】
ミスターのささやき
94年オフ、巨人入団会見でミスターから帽子をかぶせてもらう筆者。表情から喜びようが伝わる
あの日、俺はスーツ姿だった。もうシーズン終盤だったと思うけど、TBSの横浜-巨人戦の解説で横浜スタジアムに来ていたときだ。1998年限りで巨人のユニフォームを脱ぎ、現役を引退。解説者1年目だから99年の話だ。ビジターの巨人の練習が始まったので、巨人・長嶋茂雄監督にあいさつしようと思ったが、まだ出てきていなかったので、打撃ケージの後ろで、武上四郎コーチと話をしていた。 そしたらベンチからスタスタと速足で長嶋さんがやってきて、俺の耳元で「おい、川口!」と言った。何だと思ったら、 「江藤が欲しい。すぐ動いてくれ」と。 俺は、条件反射的に「はい!」と返事をした。当時、FA宣言をするのではと言われていた広島の江藤智の話というのは分かったが、動け、と言われてもどうすりゃいいのか……。カープ時代一緒だった時期もあるし、江藤を知らないわけではなかったが、特に親しいわけじゃない。しかも今は巨人とは関係ない一解説者だし……。 とは言え、現役時代最後の監督というだけではなく、少年時代からあこがれの人だった長嶋さんの命令は・・・
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週刊ベースボール