男子中学生を溺死させた業過致死罪 放課後デイ元職員に猶予付き判決
障害のある子を受け入れる放課後等デイサービス施設で、利用者の男子中学生を死なせたとする業務上過失致死などの罪に問われた元職員・宇津雅美被告(66)に対し、大阪地裁は23日、懲役1年10カ月執行猶予4年(求刑懲役1年10カ月)の判決を言い渡した。中井太朗裁判官は「過失は重大」と述べた。 【写真】大阪地裁・高裁が入る庁舎=大阪市北区 判決は、宇津被告が「アルプスの森」(大阪府吹田市、閉所)の児童支援の責任者だった2022年12月9日、清水悠生(はるき)さん(当時13)が送迎車から降りる際に複数の職員に対応させるなどの注意義務を怠り、施設外に飛び出させて近くの川で溺れさせたと認定。清水さんに水に対する強いこだわりがあり、過去に水路に飛び込んだことがあったことを踏まえれば、「危機意識に欠ける対応だった」とした。 また判決は、昨年2~3月に利用者の男子高校生の顔を殴ったり頭突きをしたりする暴行を繰り返したとも認定した。「被害を訴えることが難しい被害者の苦痛は軽視できない」と批判した。 一方で、事業所が閉鎖されて失職したことなどを酌むべき事情として、刑の執行を猶予した。代表だった宇津被告の弟(61)も同じ高校生に対する暴行の罪に問われ、有罪が確定している。 閉廷後、清水さんの父・悠路さん(48)は「被告からは一度の謝罪もなく、実刑でなかったのは残念だ」と話した。母・亜佳里さん(43)は「施設内を見守るカメラなど、不適正な対応に保護者が気づけるシステムが必要ではないか」と訴えた。(田添聖史)
朝日新聞社