カンヌで喝采!アニメ【化け猫あんずちゃん】W監督が制作裏話を語る
猫耳にふんどしとシュールすぎる撮影現場
――実際に撮影してみていかがでしたか? 山下 アニメになることを想像しながらの撮影ということで、最初は久野さんを気にしながら撮っていたんです。でも、久野さんから「いつもの感じでやってください」と言われてからは、いつも通りのやり方で撮らせてもらいました。 久野 基本的に撮影には全て立ち合わせてもらいました。おかげで役者さんの温度感を感じることが出来ましたので、そうした現場の空気みたいなものもアニメーションに描き起こす際の参考にさせてもらっています。 ――化け猫であるあんずちゃんを演じた森山さんについてはどんな印象がありますか? 山下 森山君って俳優もやりつつダンサーとしても素晴しく、身体の表現がものすごく上手い人なんですよ。猫的な動きや仕草についても森山君だったら相談しやすいだろうということもあって今回出演をお願いしました。その期待通りに素晴らしい演技をしていただき、あんずちゃんの表情や動きなどは森山君のお芝居をかなり反映したものになっています。 久野 難しい動きをなんなくやってくれるんですよ。あんずちゃんを描いてくれたアニメーターさんに「森山さんの動きって無駄なものがないからすごく描き起こしやすい」と言われたんですが、しなやかで力の入ってないような動きが本当に猫っぽくて。撮影のときは面白いなって思いながら見させてもらいました。 ――かりん役の五藤さんについては? 山下 五藤さんにとっては初のヒロイン、初アニメと初めてだらけでもありましたので、現場では僕から演出的なところを細かく要求させてもらいました。その指示を隣で聞きながら、森山君が全体をまとめていく感じだった気がします。僕としては五藤さんの周りを森山君やベテランキャストが固めることで、五藤さんとも共通するかりんの未熟な部分や初々しさがより引き立つと思いましたし、ロトスコープという手法でアニメ化された際の面白さに繋がるんじゃないかと考えていたので。後は久野さんに丸投げして上手い具合に仕上げていただきました(笑) 久野 五藤さんが山下さんの言ったことをどんどん吸収して、素敵に演じたシーンもいろいろあるんですよ。特にかりんとあんずちゃんが宴会の後で最初にケンカするところは、五藤さんの演技の輝きが見られるシーンじゃないかなって思っています。 ――ちなみに今だから言える撮影秘話などありましたらお聞かせください。 久野 森山さんが猫耳で撮影に臨まれていて(笑) 山下 貧乏神役の水澤(紳吾)さんはふんどしをつけていましたから、そうとうシュールな撮影現場だったとは思います(笑)。ドラマと違ってそのまま映像を使うわけではないので、照明はいらないし、通行人も同録のマイクが映っても大丈夫。天気も気にしないでいいということもあって、役者の演技に集中しながら楽しく撮ることが出来ました。ただ8月の撮影だったことから、とにかく暑すぎて。最後まで撮りきることで精一杯だった記憶があります。