カンヌで喝采!アニメ【化け猫あんずちゃん】W監督が制作裏話を語る
熱狂的ファンを持ついましろたかしの漫画『化け猫あんずちゃん』が、日仏合作アニメーション映画となって7月19日より全国ロードショー! 実写映像をトレースしてアニメーションを制作する“ロトスコープ”という手法で制作され、森山未來が主役の化け猫“あんずちゃん”の声と動きを演じ、カンヌ国際映画祭「監督週間」やアヌシー国際アニメーション映画祭で喝采を浴びたこの作品の劇場公開を前に、久野遥子監督と山下敦弘監督に、本作の魅力や制作裏話などをたっぷりと語ってもらった。 【関連画像】『化け猫あんずちゃん』ほのぼの名場面を見る(13枚) ――監督のオファーをもらったときはどう思われましたか? 山下 僕はもともと原作のいましろさんの漫画が大好きでしたし、「いつか映像化出来たらいいな」と思っていた作品でもありましたので、やっぱり嬉しかったです。ただ同時にアニメでという発想はなかったので、「どうなるのかな?」っていう戸惑いもありました。 久野 私は初の長編作品の監督をやらせていただけるだけでなく、山下監督と映画を作れるということがすごく嬉しくて。山下監督と一緒なら、そして『あんずちゃん』という題材であれば面白いことが出来るんじゃないかってとても楽しみに思っていました。 ――『あんずちゃん』という作品の魅力、面白さはどういったところにあると思いますか? 山下 いましろさんの作品には男のジレンマや葛藤、怒りといったものが感じられて、それにすごく共感出来たんです。そうしたものがあんずちゃんという猫のキャラクターに詰まっているのが本当に面白くて(笑)。『コミックボンボン』連載ということで子供向けでありながら、いつものいましろさん節もしっかり効いているところもがこの作品ならではの魅力だと考えています。 久野 猫ゆえの責任を持たない感じというか、あんずちゃんの適当さがいいんですよ(笑)。それでいて可愛いみたいな、そこがこの作品のオススメポイントかなと思っています。 ――そんな『あんずちゃん』を映画化するにあたって、何をテーマにしようと考えられたんでしょうか? 山下 一応『あんずちゃん』のテーマには「人助け」があるんですが、原作の漫画の方では全く解決しないで毎回終わるというのがお決まりパターンになっているんです。でもそれだと映画にならないので、“かりん”という映画にしか出てこないキャラクターを作り、彼女とあんずちゃんの二人を軸に物語が展開するようにしてみました。 久野 かりんちゃんについては、私がキャラクターデザインを起こしています。かりんちゃんを演じた五藤希愛さんのビジュアルに似せようと、彼女の可愛らしさや特徴を元にデザインさせてもらいました。 ――脚本などに原作者であるいましろたかしさんの意見などは反映されているんでしょうか? 山下 撮影前にお話を聞きに行き、そこで聞いたいましろさんのアイデアを取り入れて脚本を直したり、シーンを足したりさせてもらいました。逆に、僕らの考えにも納得してくださり、残させて頂いたシーンもあります。 久野 かりんちゃんが地獄に行ったことを、虫や動物たちが伝言ゲームできのこのおっさんまで伝えるところは、ガッツリいましろさんのアイデアが使われているシーンになります。 ――今作はロトスコープで制作されることになりました。この手法でアニメを作ると聞いたときはどう思われましたか? 山下 最初は「ロトスコープって何?」っていう状態だったんです(笑)。「まずはどうしたらいいの?」っていうところからのスタートでしたが、『あんずちゃん』の脚本を作っている最中に久野さんと一緒に豊島区のPRアニメ映像をロトスコープで作る機会があり、そこで得た経験と知識を活かしながら制作を進めていくことになりました。