イニエスタの引退試合を取材しながら2010年南アW杯決勝の値千金ゴールが蘇った【六川亨のフットボール縦横無尽】
【六川亨のフットボール縦横無尽】 12月15日にアンドレス・イニエスタの引退試合を取材した。 ❤SEXYすぎるっ!!!❤ 元なでしこが脱いだっ!!!SEXYショットを大公開!!! 「レアル・マドリー レジェンズ」にはGKカシージャス、SBロベルト・カルロス、CBカンナバーロ、MFマクマナマン……。「FCバルセロナ レジェンズ」にはMFシャビ・フェルナンデス、MFイニエスタ、FWサビオラ、MFリバウドといったスーパースターが集結。味の素スタジアムには4万5725人もの大観衆が集まった。 スタンドを埋め尽くしたファンの数にはびっくりしたが、さらに驚かされたのが20、30代の若者たちや小学生の子供と一緒の親子連れが多かったことだ。 レジェンドたちの現役時代を知るオールドファンが多く訪れると思っていたが、若者らが往年のスーパースターにリスペクトの念を抱き、プレーをひと目見ようとスタジアムに足を運んでくれたことをうれしく思った。 記者席では、隣り合わせになった招待客らしき若者の会話が耳に入ってきた。彼らは「カンナバーロは守備だけの選手なので使い勝手が悪いんだよな」と話していた。 どうやら小学生時代にPCゲームのWinning Eleven(ウイニングイレブン=通称ウイイレ)を通して、選手たちの特徴を把握していたようだ。 「そうか、ゲーム画面で選手のプレーを知る楽しみ方もあるんだなぁ~」と感心してしまった。 試合は前半30分までバルサのワンサイドゲームだった。イニエスタは40歳、サビオラは43歳、シャビも44歳とチームでは若手の部類に入る。 バルサはワンタッチやツータッチでショートパスを繰り返す伝統のポゼッションスタイルでレアルを攻め立てた。技術はもちろん、戦術スキルも歳を重ねたとしても衰えてはいない。 対するレアルは、今回は来日しなかったMFジダン、MFベッカムに代表される「個のタレント力」で黄金時代を築いてきただけに、やはりチームプレーという点ではバルサに見劣りした。 それでも「43歳の若手組」であるGKカシージャスが、バルサの決定機を次々とストップ。拮抗した試合の立役者となった。 勝負は1-1から後半の追加タイムにイニエスタの左クロスがオウンゴールを誘い、バルサの勝利でレジェンドの引退試合のフィナーレを飾った。 もうひとつ、サッカー界では「シニア」にカテゴライズされる40、50代の往年の名手たちが、フルに90分間プレーしたことにも驚かされた。 ◇ ◇ ◇ 東京都を含めて全国的に40歳以上からの「シニアリーグ」というカテゴリーがある。 O(オーバー)40(40歳以上)、O50、O60は30分ハーフ、O70からは25分ハーフ、そしてO75とO80は20分ハーフという試合時間になっている。もちろん体力面を配慮してのこと、だ。 これまで日本代表戦の取材で海外に赴き、現地のサッカー協会の職員やメディア関係者のチームと日本のメディアチームとの親善マッチで何度かプレーさせてもらった。 対戦相手に「20分ハーフで試合を回して本数を多くしたい」と言うと怪訝な顔をして「サッカーは45分ハーフの計90分でやるのが常識だろ」といぶかられたものである。 いや、それはそうなんだけど、あくまで親善試合なんだから……とは言わなかった。 欧州では、シニアの草サッカーでも「45分ハーフ」で試合をやっていたことを知っていたし、彼らから「お前らサッカー知っているのか」と言われたような気がしたので敢えて反論は差し控えた。 ともあれ「サッカーの試合時間に年齢は関係ない」という欧州や南米の常識を改めて痛感させられた日本開催の「エル・クラシコ」だった。 ◇ ◇ ◇ 引退試合が終わった後は、イニエスタの家族が花束を渡したり、レアルのカマーチョ監督が背中にイニエスタの名入りのユニホームをプレゼントしたり、両チームの選手が代わる代わるイニエスタと一緒に記念の写真をスマホで撮影したり、心温まるシーンが見られた。 引退セレモニーが始まる前だった。 コロンビアの歌姫シャキーラが唄った2010年南アW杯公式テーマソング「Waka Waka (This Time for Africa)」が味スタに流れた。 南アW杯はスペインが初優勝を果たした大会であり、イニエスタはオランダとの決勝戦で延長後半(116分)に右足ボレーで値千金のゴールを決めている。 「まさか味スタで懐かしのWaka Waka を聞けるなんて……」。大会主催者のイキな演出も予想外で嬉しい驚きだった――。 (六川亨/サッカージャーナリスト)