ソニー米子会社、光通信の試験衛星を2026年に打ち上げ–ブルーレイの光ディスク技術を活用
ソニーグループの米Sony Space Communications Corporation(SSCC)と米Astro Digital(アストロデジタル)は米国時間11月12日、2機の超小型衛星の設計、製造、打ち上げに関する契約を締結したと発表した。 2機の衛星はSSCCが開発する、レーザーでの光通信端末を搭載し、衛星間、衛星と地上局の間で高データレートの通信リンクを確立するのが目的だ。光通信端末は、ソニーが培ってきたブルーレイなどの光ディスク技術を活用。衛星は2026年に打ち上げられる予定となっている。 「Astro Digitalは実証済みの『Corvus』衛星バスプラットフォームを活用して、軌道上でソニーの高性能な光通信端末をホストし、その運用を実証することを楽しみにしている」と、Astro Digitalで最高経営責任者(CEO)を務めるChris Biddy氏は述べている。 SSCCは2022年6月に設立。ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)に所属していた岩本匡平氏がプレジデントを務めている。 ソニーCSLは、2020年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟に設置した小型光通信実験装置「SOLISS」(Small Optical Link for International Space Station)と情報通信研究機構(NICT)の宇宙光通信地上局との間で双方向光通信リンクを確立し、Ethernet経由での高精細度(HD)画像データ伝送に成功している。 2021年には、SOLISSが宇宙からギリシャに設置されたKongsberg Satellite Services(ノルウェー)の商用光地上局へのデータ通信確立に成功。2022年には、JAXAと共同で成層圏や宇宙でのインターネットサービスの技術基盤となるエラー発生環境下での完全なデータファイル転送の実証にも成功している。 地球低軌道(LEO)を周回する衛星は近年急増しているが、センサーの高度化から地上に送信するデータ量も増加している。有限な資源である無線での通信よりもレーザーを活用した光通信が期待されるようになっている。
塚本直樹