オーストリア鉄道「新型レイルジェット」の大進化 特急車両も「低床化」でバリアフリーを徹底
■食堂車に加えて軽食自販機も 車内は、ビジネス(特等)と1等はこれまでと同様の構成で、ビジネスは最大定員4人の個室、1等は横2+1列のオープン座席となっている。 個室は車端部に2部屋が設けられているが、興味深いのはこの2部屋は完全に壁で仕切られているものの、その壁がガラスとなっていて、隣の部屋が見えるという点だ。欧州のコンパートメントは死角が多いことから犯罪の発生確率が高く、近年は日本の特急車両などと同じオープンスタイルの車両が主流となっているが、一方で個室というプライベート空間を確保できるため人気もある。ÖBBの答えは、2つの部屋をガラスで仕切ることで死角を減らすというところにたどり着いたようで、2等車に設けられた個室も同様の構造だ。
座席は、従来車では2人がけの場合2席が完全に分割した構造だったが、新型は1等、2等ともに2人がけ席が一体となっており、一見するとベンチのようにも見える。隣に誰も座っていない場合、ひじ掛けを収納すれば座席を広く使うことができるのが特徴だ。 前席の背の部分にあるテーブルは上下2段で、上段は小物を置くスペースとして活用できるほか、NFCワイヤレス充電器を内蔵している。電源は通常の230Vコンセントのほか、携帯電話充電用のUSBポート、NFCワイヤレス充電の3つがある。車端部の荷物スペースはナイトジェットと同様にチェーンロックを装備している。
車内設備で興味深い点としては、初めて飲み物の自動販売機とコーヒーマシンが車端部の数カ所に設置されたことだ。 これまでは車内で食料や飲料を調達しようとすると食堂車まで行かなければならなかったが、ペットボトル飲料やサンドイッチなどの軽食、コーヒーなどは自席近くの自販機で調達できるようになった。 食堂車は1両のうち半分を2等客室とした合造車で、車体中央の低床部分に調理場と食堂の座席を設けている。向かい合わせのテーブル席だけではなく、窓側にテーブルを配置したカウンター席も用意された。