不滅の大記録を破ったNBAのレブロン・ジェームズ、「選手以上の存在」としてコート外でも活躍
▽史上最高の選手は誰か ただ、誰がNBA史上最高の選手か、という論争は決着しそうにない。ジェームズ自身も「ずっと続くだろう」と断った上で「自分は自分より誰かを上に選ぶことはしない」と自負を口にする。 ジェームズとの比較について、ジョーダンさんは「プレーした時代が違う。それぞれの時代を比べたくなるのも分かる」と理解を示しつつ「比較する人がいても、そういうものだなと思うだけ。自分は話半分に受け止める」と2020年に語った。 ▽「黙ってドリブルしない」 活躍がコート内にとどまらないという点で、ジェームズとアブドゥルジャバーさんには共通点がある。NBAは社会正義に貢献した選手を表彰する賞にアブドゥルジャバーさんの名前を冠する。17歳でマーチン・ルーサー・キング牧師に会って影響を受け、ボクシングの名王者ムハマド・アリのベトナム戦争への徴兵拒否を支持するなど、公民権運動の時代から社会問題に声を上げてきた。
ジェームズも地元アクロンに、道から外れる可能性がある子どもたちを対象とした学校を創設するなど、コート外の活動に熱心に取り組む。2018年にはトランプ大統領(当時)批判で保守系のニュースキャスターから「黙ってドリブルしてろ」と言われたことを受け「黙ってドリブルなんかしない」と返した。黒人差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」で存在感を示した女子テニスの大坂なおみが、ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で引用するなど、大きな影響を与えた。 ▽新シーズンへ 自らの信条「MORE THAN AN ATHLETE(選手以上の存在)」を体現してきたジェームズの昨季は、西カンファレンス決勝でナゲッツに屈して終わった。有望株と期待される長男ブロニーの南カリフォルニア大進学が決まり、NBAでの共演も視界に入ってきた。 新シーズンの去就に「考えることが多くある」と多くを語らなかったことから米メディアは引退も検討と報じたが、7月12日にスポーツ専門局ESPN主催の表彰式で「コートに全てを注げなくなった日が引退する日。皆さんにとって幸運なことに、それは今日じゃない」とスピーチして拍手を浴びた。史上初の4万点も視界に入る中、第一人者が新たな一歩を踏み出す。