不滅の大記録を破ったNBAのレブロン・ジェームズ、「選手以上の存在」としてコート外でも活躍
▽歓喜の瞬間 飽くなき向上心を原動力に成長し、結果につなげてきた。2008年2月に23歳の史上最年少で通算1万点に到達。2万点の節目も2013年1月に最年少の28歳で突破した。3万点を超えたのは33歳だった2018年1月で、やはり最年少記録だった。 歴代では2019年3月にジョーダンを抜いて4位、2020年1月にはコービー・ブライアントを抜き3位に。「アンタッチャブル」とも称されたカリーム・アブドゥルジャバーの記録を上回ることが、現実味を帯びてきた。 歓喜の瞬間は今年2月7日、本拠地ロサンゼルスでのサンダー戦で訪れた。第3クオーター残り約11秒、後方にジャンプしながら放つシュートを鮮やかに決めて記録を更新。両手を上げて大歓声を浴びた。試合を中断してコート上で行われたセレモニーでは1984年以来、記録保持者であり続けたアブドゥルジャバーさんも姿を見せ、花を添えた。ジェームズは「伝説のカリームの前で身の引き締まる思い」と目頭を押さえた。バイデン米大統領も「神聖なる記録を抜いた」と称賛する大偉業を成し遂げた。
▽三者三様のプレースタイル アブドゥルジャバー、ジョーダン、そしてジェームズ。いずれも史上屈指の名手だが、プレースタイルは三者三様だ。 アブドゥルジャバーは1969年にデビュー。リングに対して体を横に向け、遠い側の腕でボールを放るフックシュートが最大の武器だった。しかも218センチの長身。リングとほぼ同じ高さから放たれるそのシュートは「スカイフック」と称され、一時代を築いた。 ジョーダンは抜群の運動能力を誇る。1986~87年シーズンに1試合平均37・1点を記録し、得点王に史上最多の10度輝くなど驚異的ペースで点を重ねた。NBA決勝6度出場で全て優勝と、勝負強さも神格化されている。 ジェームズは高い身体能力に頼りがちだったデビュー当初から、課題を克服しながら時代の変化にも適応。ここ数シーズンは3点シュートを多投するようになっている。 1試合平均でこれまで最も低かったのは1季目の20・9得点で、2季目以降は1度も25点を下回ったことがない。38歳となった20シーズン目の昨季も28・9点。アブドゥルジャバーの現役最終年だった20季目が10・1点だったのとは対照的だ。