春風亭一之輔「仕事が増えても寄席を大事に」林家正蔵「憧れの師匠のところで修業を…」父・初代 林家三平が大反対
落語家の春風亭小朝さん、林家正蔵さん、春風亭一之輔さんが『ボクらの時代』で鼎談。 落語界について大いに語り合おうと集まった3人が、落語をする上で大事にしていることや、憧れの師匠について語りました。 【写真】春風亭小朝、林家正蔵、春風亭一之輔の写真を見る
春風亭一之輔「仕事が増えても寄席を大事に」
軽快な語り口で古典落語を演じる実力派で、テレビやラジオ、執筆活動と多彩な才能を発揮し、今最もチケットが取れない落語家と言われている春風亭一之輔さん。 春風亭小朝さんから「売れてこの芸能人に会えて感動したことは?」と聞かれると、意外な答えを明かしました。 春風亭一之輔: 黒柳徹子さん、北野武さん、所ジョージさん、ダウンタウンさん…いろんな方に会ったんですけど、感動はないです。 むしろ、この人に何か聞きたいなと思いました。 (番組に出演していろいろ聞いていたら)「こんなに(黒柳)徹子さんに聞く人、初めてです」と言われました(笑) そういう喜びはありますね。 この人に会えたから、ここまで来たなというのはないです。 「しょせん僕はテレビで生きていく人間ではない」と自分で腹をくくっているからかもしれません。一個一個くさびを打ってテレビに出るまで来たという考えはあまりなくて。 『徹子の部屋』に出た後も寄席にも出ているし、寄席を低く見ているわけではなくて、やっぱりこっち(寄席)に帰ってくるのが自分だなと思っています。 春風亭小朝: よそで闘ってくると、寄席ってすごく安らぐよね。 春風亭一之輔: 感じています。 地方の独演会で1人でやって、そのあと寄席に来て前座さんに『なんか最近、おもしろい事あった?』とか言って笑い話をしている空間で浄化されます。 自分のお客さんばかり相手にしていると、本当にどうかなっちゃうので。 寄席で自分目当てではなく来ているお客さんの前でしゃべることが、こんなに自分にとってプラスなのかというのは、今、感じています。
林家正蔵「憧れた落語家は古今亭志ん朝さん」
昭和の爆笑王、初代 林家三平さんを父に持つ林家正蔵さんは、幼い頃から有名人と会うことが当たり前だった環境だったことや、憧れの人を明かしました。 林家正蔵: ジャイアント馬場さんやキャンディーズさんとか家に帰ったらいる。 こたつの上でキャンディーズが歌っていた。 そういう家だったんです。 春風亭小朝: すごいわ! じゃあ、はなし家になったからといって有名人に会っても感動はなかった? 林家正蔵: 僕の中でのアイドルは(古今亭)志ん朝師匠だったんです。 ※古今亭志ん朝(1938~2001):古典落語の第一人者でドラマや舞台でも活躍 春風亭小朝: かっこいい! 「お父さんの弟子ではなくて、志ん朝師匠の弟子になっていたら」って考えることない? 林家正蔵: あります。 多分、途中で辞めていたと思いますけど(笑)修業が厳しくて。 うちの父にも「志ん朝師匠のところに(修業に)行きたいです」と言ったんです。 父から「なんで?」と聞かれたので「芸風が…」と言ったら(父が)おっかない顔をしていました(笑) 「志ん朝師匠のような芸風になりたいんです」って言ったんですけど、「ダメ、うちで修業しろ」と言われた。 父は「(志ん朝師匠のところで修業したら、志ん朝師匠が)『お前は三平さんのせがれなんだから、うちで修業したけど林家になりなさい』と、きっと戻してくるに決まってる。 芸を仕込む時期だけ(志ん朝師匠に)大変な思いをさせちゃいけないから、うちで面倒を見る。 その代わり厳しくやるから」と言われました。 この対応に、春風亭小朝さんは「そこまで師匠(父・初代 林家三平さん)は読んでいたんだ」と感心していました。 (『ボクらの時代』 2024年6月16日放送より)
ボクらの時代