入船鋼材の板金子会社「入船テクニカ」、折り曲げ加工能力を増強。金型を自動交換・生産性向上
酸洗鋼板流通大手の入船鋼材(本社・東京都中央区八丁堀、社長・市野勝昌氏)は、精密板金子会社の入船テクニカに幅4メートルに対応した最新鋭ベンディングマシンを導入し、折り曲げ加工能力を増強した。自動金型交換装置(ATC)を装備し、金型の交換や段取り、収納を自動化・省力(人)化したことで生産性向上に寄与。顧客の多品種少量・短納期ニーズに対応しつつ、現場オペレータの作業負荷軽減にもつなげている。 入船テクニカ(旧宮沢工業、社長・市野社長が兼任)は、中核拠点の榛名工場(群馬県高崎市上室田町)で一般産機や受電設備向けを主体に薄中板の切断・穴あけからプレス、曲げ、溶接・組立までの一貫製作を手掛ける。 導入したのは加圧能力220トンの「HG2204ATC」(アマダ製)。3月から本格稼働を開始した。熟練度を要する金型の段取り作業(交換、取り出し、配置、収納)をATCで自動化・無人化し、アセンブリー製品の金型一括段取りも容易に行えるのが特長。 角度センサを取り付けたことで「試し曲げ」を不要とし、油圧クラウニング機構とも併せて角度のばらつきや中ダレも抑制。作業者の習熟度に左右されずに高精度な曲げ加工を実現した。簡易追従装置を2軸装備し、重作業を軽減したので最少人数でスピーディかつ安全に作業できる。 このほか各種安全装置も取り付け、危険防止や人的ミスの抑止にもつなげている。 顧客からの多品種少量・短納期ニーズは一段と高まる傾向にある一方で最近は諸物価が高騰。その中で競合先とのQCD競争力を確保しつつ、現場の労働環境改善・安全対策を両立するには、自動化比率を高めながら生産性向上・効率化、品質強化、スキルレス(熟練度不要)な現場づくりが不可欠とされる。 入船グループでは高性能な最新鋭設備を積極的に採り入れることで素材の販売・一次加工から板金までの一貫体制強化を推し進めており、今回の取り組みもその一環と言える。