60代で挑んだマンションリノベ。建築家によって大変身した空間に「心が軽くなった」
連続する空間をモールディングが際立たせる
回廊のつくりはマンションにありがちな閉塞感や採光不足も払拭。東南からの採光は遮られることなく各部屋へ回り込み、家中に明るさをもたらしています。移動するたびに次へと続く光景が目に入ってくる楽しさも。それが、A邸に実際以上の奥行きを与えています。 この奥行き感を強調するのが、部屋の景色をフレーミングするモールディング。 「連続する部屋をモールディングでつなぐことで、空間の連なりが強調される。それが、見る人にさらなる奥行き感を与えるのでしょう」と浅利さん。
温かな素材感とシックな色調が調和する上質な空間
一方、空間の色と素材選びもA邸の重要なテーマの1つでした。長年ファッション関係の仕事に携わっていたAさんは、色や素材に対する高い美意識の持ち主。内装に加え、旧宅から使ってきた家具のリペアもていねいに行いました。 まず、室内の色調に合わせてリビングのセンターテーブル、ダイニングテーブル、リビングボードの木製家具を“ブラウンのニュアンスをまとうグレー”に再塗装。ソファの張り地は、空間に違和感なく馴染み、個性も放つ白とグレーブラウンのツートンカラーに張り替えました。座面と背もたれは裏表で色を変え、リバーシブルに。季節に合わせて模様替えが楽しめます。
“大きな整理”を終え、完成した住まいに「心が軽くなりました。重い荷物を下ろしたよう。この家はリノベーションを通して出会ったプロの方々全員が心をかけ、真剣に関わってくれた結果です。本当に感謝しています」と語るAさん。 自分の美意識を結集させた住まいで、心豊かなセカンドライフが始まっていきます。