国内プライベートクラウド市場、2028年は2023年比で約2倍に--IDC調査
IDC Japanは、国内プライベートクラウド市場の最新予測を発表した。これによると、2023年の同市場規模は前年比27.3%増の2兆533億円となり、2028年には2023年比で約2倍の4兆2126億円に達すると予測される。 同社は、プライベートクラウドについて、従来のIT環境効率化だけでなく、クラウドネイティブやAIといった先進的なテクノロジーをサポートする環境へと進化を続けていると指摘する。 同市場の成長要因としてIDCでは、クラウドマイグレーションの継続、DX/データ駆動型ビジネスの進展、製品・サービスの単価上昇などを挙げている。 また、プライベートクラウドの役割の変化も指摘している。国内では従来、プライベートクラウドが「過去資産(ソフトウェア、ITスキル)の継承性、運用管理性、専用環境」といった特徴から導入が進められてきた。一方で、パブリッククラウドは、「拡張性や先駆的な機能性」が評価されてきた。しかし近年では、プライベートクラウドにおいても最新技術を柔軟に活用できる環境としての認識が高まっており、特に生成AIの発展がプライベートクラウドの新たな可能性を広げているという。 生成AIが機密情報を扱うようになり、セキュリティの観点からプライベートクラウドでの稼働ニーズが高まっている。また、生成AIの処理能力向上に伴い、低遅延の要求も高まっており、これもプライベートクラウドの需要を上昇させている。 さらにデジタル主権への対応に加え、新しいテクノロジーの活用基盤として、「ソブリンクラウド」(ユーザーが主権を持つクラウド環境)がプライベートクラウドと融合し、ハイブリッドクラウドとして発展していくとしている。生成AIの推論などの処理には、エッジコンピューティングも有効であり、ワークロードや用途に応じてプライベートクラウドとエッジコンピューティングが使い分けられるようになるという。 同社はITベンダーに対して、今後は生成AIなどの先駆的なテクノロジーに対応するとともに、デジタル主権を実現するソブリンクラウドを整備し、プライベートクラウドの新たな価値を提示していく必要があるとした。