【パCS】柏原純一氏が日本ハムバッテリーの〝安直配球〟に苦言「初球を打たれ過ぎだ」
日本ハムが崖っぷちに立たされた。17日に行われたCSファイナルステージ第2戦(みずほペイペイ)でソフトバンクに2―7と完敗。相手のアドバンテージを含め0勝3敗となり、日本シリーズ進出へ王手をかけられた格好だ。野球評論家の柏原純一氏は、CSで初球の被本塁打が目立つ日本ハムバッテリーに「1球に対しての繊細さ」を強く訴えた。 【柏原純一「烈眼」】日本ハムはCSファイナルステージでリーグ覇者のソフトバンクに連日、実力差を見せつけられている。この日は2回までに主導権を握られた。 初回に打線がソフトバンクの先発・モイネロから幸先よく1点を先制したものの、先発・加藤貴が誤算だった。立ち上がりから鷹打線に捕まり、いきなり3失点。痛かったのが1―1とされた直後、二死一塁から近藤に喫した右翼席への勝ち越し2ランだ。初球141キロの内角直球を狙い打たれた。 最低でも同点止まりで踏みとどまらなければならない場面で、相手がパ・リーグ首位打者ということを踏まえても「ボール球」から入り、様子をうかがう慎重さが必要だった。余りにも安直に行き過ぎだった。 それにしてもCS期間中の日本ハムには本塁打での失点が目立つ。中でも「初球」を打たれ過ぎだ。通算5試合で計10被弾。1球が命取りとなる短期決戦では、やはり多いと言わざるを得ない。ファーストステージから5本が初球、うち4本の球種は真っすぐだ。 この日敢行した対近藤の場面など試合の流れや局面を加味すれば、より〝慎重さ〟が求められるところ。だからこそバッテリーが選択する対打者への入り球は、時に臆病なぐらいの〝繊細さ〟が絶対に必要だ。 対照的に5回の日本ハムの攻撃を無失点で切り抜けた鷹の捕手・甲斐の「配球の妙」が際立っていた。日本ハムが2点を追いかけ、二死一、二塁として3番・マルティネス、その後に4番・レイエスの両助っ人を迎えた場面だ。モイネロ―甲斐のバッテリーはまずマルティネスに対し、初球は膝元の低めに外れる直球のボール球をチョイス。さらに二死満塁となって対峙した次のレイエスには初球でワンバウンドのカーブを投じた。いずれの1球も打球を上げるのが困難なコースへ配した。1球の怖さを知るがゆえだろう。 もちろん今や誰もが認める球界屈指の捕手・甲斐と、昨季まで一軍での実績がないに等しい田宮との経験値を比較するのは後者にとって〝酷〟なのはわかる。一方で勝負の世界において、それを試合結果のエクスキューズとしては認めてくれない。 とにかく日本ハムとしては、もう後がなくなった。それだけに改めて、バッテリーには1球に対しての繊細さをより求めたい。 (野球評論家)
柏原 純一