「酔っ払いに愛を」。集え呑兵衛! 10月は八戸の横丁がおもしろい!
コロカルニュース
■ディープな横丁の世界へようこそ 「お酒+α」で、そこに集った皆がつながるアートイベント「八戸横丁月間 酔っ払いに愛を 2024」が今年も開催されます。戦後の闇市が始まりといわれる、日本全国の横丁。狭い空間で肩を寄せ合い、しっぽり飲むという、どこかアンダーグラウンドなイメージがつきまといます。しかし、最近では、インバウンド人気や昭和リバイバルもあり、誕生年数が少ない健全なイメージで、気軽に入れる横丁も全国に増えてきました。青森県八戸市には、戦後にできたディープな横丁から、比較的新しい横丁まで、なんと8つの横丁が存在します。 【写真で見る】最初はハードル低めな横丁から。横丁初心者でも安心して楽しめるという〈みろく横丁〉。 ■妖しい魅力で酔客を魅了する八戸の横丁文化 まず紹介するのは、比較的入りやすい5つの横丁。2002年東北新幹線八戸駅の開業を記念してできた〈みろく横丁〉は、八戸市中心街にあり、道幅は狭いですが、外から店内が見えるため、横丁初心者でも安心して楽しめます。みろく横丁と交差する〈花小路〉も、マチニワや八戸ブックセンターに通じるため、人通りも多く入りやすい雰囲気。藩政時代に牢屋があったため〈ロー丁(ろーちょう)れんさ街〉と呼ばれる横丁は、戦後引き揚げ者のためにできたマーケットでした。そこと隣接する〈長横町れんさ街〉は1945年から続く飲食店街で、長横町の中ほどには、かつて駐留米兵のためのローラースケート場があったそう。〈ロー丁れんさ街〉〈長横町れんさ街〉〈八戸昭和通り〉は比較的道幅も広く、お店に入るハードルは低め。 そして、次の3つの横丁は、道幅も狭く薄暗い、ディープな雰囲気の横丁です。〈たぬき小路〉は道幅の狭さや看板など、古い映画のセットのように昭和の趣がそのまま残っています。そこから続く〈五番街〉はひとりしか歩けないような小路沿いに、隠れ家的なお店が並びます。〈ハーモニカ横町〉も、1945年から続く飲食店街で、小料理屋からエスニック料理まで多種多様なお店が営業しています。 これらの多彩な横丁を、初めての人でもディープに楽しんでほしい。そのためにさまざまなイベントを10月に凝縮し、常連客や観光客関係なく、誰もがピースに楽しむことができる催しにしたのが、アートイベント「酔っ払いに愛を2024」なのです。八戸の横丁の魅力をファンタジックに加速させるこのイベントについて、実行委員会の方にお話をうかがいました。 ■八戸横丁の魅力を味わうアートプロジェクトとして2009年にスタート 現行の「酔っ払いに愛を」は2014年から始まりましたが、そもそものはじまりは2009年でした。八戸の10月は、夏祭り「三社大祭(さんしゃたいさい)」が終わった後の飲食店の閑散期。また、全国の都市と同様に、八戸でも郊外化が進み、中心街の空洞化が問題視されていました。そういった横丁の課題や可能性をアートの視点から盛り上げることができないか。八戸ポータルミュージアムが主導し、民間の助成金事業としてスタートしたのが「横丁オンリーユーシアター」でした。 「横丁オンリーユーシアター」は横丁の路地や空き店舗を舞台に、約10団体のパフォーマーが、ダンスやお芝居、お笑い芸などを披露。横丁の酔客たちとハプニング的にコミュニケーションし、その瞬間ならではのパフォーマンスを生み出します。この「横丁オンリーユーシアター」に、「地酒で乾杯!」「横丁飲みだおれラリー」「八戸さんぽマイスターによる横丁探訪」といったさまざまな主催者によるイベントが加わり、現在の「八戸横丁月間 酔っ払いに愛を」という複合イベントになり、毎年10月に開催されてきました(2021年のみ中止)。 「酔っ払いに愛を」を統括し、「横丁オンリーユーシアター」のプロデュースを手がけるのは、酔っ払いに愛を実行委員会の皆さん。事務局・八戸ポータルミュージアムのコーディネーター・寺地菜摘さんと、主査・坂本淳美さんが、このイベントの魅力について語ってくれました。 「横丁は、人と人のつながりや、愛を感じられる場所。その魅力を、初めての方にも安心して体験してもらえるのがこのイベントです」 15年前から続いているだけあり、八戸というまちの個性が伝わるエピソードもたくさんあるといいます。 「今年も出演してくださるロービングパフォーマーのun-paさんが2018年にパフォーマンスした際の話です。un-paさんは全身銀色で、どう見てもパフォーマンスしている方なのに、白い紙を掲げて立つun-paさんを、タクシーの運転手が乗せて走り去ってしまいました。実行委員の担当者が慌ててタクシーを拾ってun-paさんを追跡したことがあります」 八戸は、酔っ払いだけではなく、タクシーの運転手もノリが良さそう。