東京から引っ越したら保育料が激増! 子育て施策で自治体は税収格差とどう闘うか
今春、記者は部署異動に伴う転勤で、夫と2歳の息子と共に東京都杉並区から横浜市へ引っ越した。新年度が始まってからの「保活」は厳しく、やっとのことで認可保育園に滑り込み、歓喜していたのもつかの間、引っ越し先の区役所から届いた「利用料決定通知書」を見て驚愕する。都内で通っていた認可保育園と比べて、月々の保育料が約3万円も増えていた。「高すぎる。何かの間違いではないか」 【写真】妊娠中に婚約を破棄され、彼は姿を消した。生まれた息子には小児がんが見つかり、その致死率は「50%」。「このことは口外しない約束を」 彼は認知をしないどころか、シンガー・ソングライターとして全国ツアーへと旅立った。ライブ後に彼がネットに投稿した内容は…
ただでさえお金のかかる子育てで、住む地域によって大きくコストが変わることを疑問視する声は各地で高まる。それに対して自治体は、子育てしやすい地域として魅力を感じてもらえるよう、さまざまな工夫を凝らしていた。(共同通信=桂田さくら) ▽格差を生み出す税収 国は保育料の基準を定めているが、実際の金額は各自治体の裁量に任される。神奈川県内の保育関係者らでつくる市民団体「神奈川県保育問題協議会」は8月、保育施設を利用する保護者を対象に実施したアンケート結果を発表。8割以上が保育料を「高い」「やや高い」と回答したと明らかにした。特に、東京都と比較して保育料負担が重いという意見が横浜市などの保護者から出たという。協議会は「国全体の方針が、実際には自治体ごとの対処に任され、施策の中身が違ってしまうのはおかしい」と指摘する。 これに対し、横浜市の担当課は「保育料は世帯所得に応じて階層別に決めていて、自治体によってどの階層の利用料を手厚く軽減するかが違うので一概に比べられない」と説明する。ただ第2子以降の保育料では東京都との間に明らかな差がある。第2子以降を完全無償化している東京都に対し、横浜市は「第1子が小学校就学前に限り第2子を半額」という国の基準と同じ措置にとどまる。そういった「子育て施策の地域間格差」の背景にあるのは、圧倒的な税収の違いだ。 ▽国の役割と自治体にできること
7月の東京都知事選では、現職の小池百合子都知事が、子育て世代の家賃負担軽減のほか、第2子から無償化されている保育料を、第1子にも拡充することなどを公約に掲げて圧勝した。記者自身も、子どもを育てる同世代の友人らから「子育てするなら絶対に東京」と、その手厚い支援を支持する声を聞く。 東京都が潤沢な税収を武器に充実した施策を取る一方で、「子育てしたいまち」を目標に掲げる横浜市にはどのような戦略があるのか。山中竹春市長に聞くと、まず大前提の考えが返ってきた。 「地域によって子どもの医療費や給食費といった基礎的な経済支援に格差が出ないように、国にはナショナルミニマムをつくってほしい。国の果たすべき役割があると思います」 実際に山中氏は6月、こども家庭庁を訪れ、医療費助成の充実などを要望している。その際に提出した要望書では保育料についても、年齢条件を撤廃した第2子の無償化を国が主導するよう求めた。埼玉、千葉、神奈川の3県知事も5月に、財政状況の違いで子育て支援策に格差が出ているとして松本剛明総務相(当時)らに地方税収の格差解消を直談判している。