「給食はまるで修行」完食指導で登校さえも苦痛に 食の悩み、どう解決 #令和の子
子どもの幸せな食事を守るために
給食の悩みを通じて、食事そのものだけではなく、それに付随するあらゆる活動が苦痛を伴うものになることを鈴木さんは懸念しています。 鈴木さん「娘は給食が苦手で園や学校に行きたくない、と言いました。逆に言えば給食の悩みがなければもっと楽しく通えていたかもしれません。それってすごく悲しいですよね。食べられないことが原因で、他のことが経験できなくなったり、楽しめなくなったりするなんて……。毎日給食の事ばかり心配しているこの子は、一体何のために学校に行っているのか? と本当に何度思ったかわかりません。 今思うと、娘がほしかったのは、食べられなくても大丈夫、責められないという安心感だったのだと思います。その安心感があれば、必ず子どもは『苦手にもちょっとチャレンジしてみようかな』という気持ちが出てくるのではないでしょうか」 鈴木さんは、発達支援員としての勤務経験も持っています。学校現場で先生が苦慮する姿も目にしているからこそ、給食指導についての情報を発信する山口さん主宰の「きゅうけん」の活動にも携わるようになりました。 鈴木さん「先生たちだって一生懸命です。でも、食べられない子に対して具体的にどうしたらいいのかがわからないから、こんな悩みや悲しい状況が起きるんだと思います。だからこそ子どもに関わる大人の考えから変えていかなければ、という思いでした。給食の時間は、誰にとっても楽しい時間になってほしい、ホッと安らげる時間であってほしいです」 山口さんも保育園、幼稚園、学校、部活動など、さまざまな場面での「食べられない子」への誤解を解きたいとの思いを強くしています。 山口さん「食べられない子どもたちへの適切な対処が広まることで、給食は食べる楽しさを知る場所になります。食べることは楽しいという感情を体験することが、社会の幸せをつくると信じて活動していきます」
まとめ
「食べられない」に対して、気持ちに寄り添ってあげること、細かなステップを準備してあげること。それがプレッシャーを減らし、結果として食べられるようになる環境を整えることにつながるかもしれません。食べることを楽しむ子どもが増えることで、社会の幸せを増やしていきたいですね。 ※この記事は、ベネッセ教育情報とYahoo!ニュースの共同連携企画です。