[山口県]「せきまる」治療 SNSで話題 下関市のキャラクターオブジェが“大けが”
名陵中生が修繕に協力 市「知名度向上の機会に」
フグとクジラ、奇兵隊をかけ合わせた下関市のメインキャラクター「せきまる」をデザインした郵便ポストのせきまるオブジェが、交流サイト(SNS)で注目を集めている。右足部分をもぎ取られてしまい、「かわいそう」と立ち上がった地元中学校の美術部員がギプス姿に松葉づえを持たせたバージョンにした上で新しい右足を現在作っているが、その“治療”の過程を市の公式インスタグラムで発信したところ話題に。思わぬPR効果に市の担当者らは驚いている。 【写真】「元気」だった頃のせきまるオブジェ(下関市提供) 壊れたのは、同市阿弥陀寺町の赤間神宮前にある郵便ポストの天板に取り付けられた高さ約30センチのせきまるのオブジェ。昨年2月に市内5カ所に市と日本郵便が連携して設置した一つだが、今年5月になって右足部分が破損しているのが見つかった。市が周囲を捜したが、部品の行方は分からなかった。 その後、同23日に下関市役所で職場体験していた名陵中学校(丸山町)の生徒が観光名所の赤間神宮に立ち寄った際、ポストのせきまるオブジェが“大けが”をしているのを目の当たりに。「自分たちにできることはないだろうか」と考えていたところ、生徒の中に美術部員がいることを知った市共創イノベーション課の職員が「得意分野を生かして、せきまるの治療に協力してもらえないか」と依頼し、6月から中学生による修繕プロジェクトがスタートした。 美術部員13人が参加。せきまるのサイズに合わせた松葉づえや包帯を巻いたバージョンの右足を制作し、「治療中なほっちゃ」と書かれた表示と一緒に同20日に取り付けた。このレアな姿を市が公式インスタグラムで投稿すると、通常は100程度しかないという「いいね」が700以上つくなど反響を呼んだ。 今月9日には部員たちが石粉粘土などで作った右足の型を持参して、きちんとはまるかどうか寸法を測定。はさみで削り取るなど調整した。3年の美術部部長(14)は「自分たちの治療がSNSで話題になっていると知って驚いた。部員のみんなが頑張ってくれ、出来栄えもよさそうなのでうれしい」と笑顔を浮かべた。 市は、オブジェの破損という「ピンチ」を、下関やせきまるをPRする「チャンス」に変えようとプロジェクトを進める。同課都市ブランド化推進室の永富敬吾室長は「中学生が治療に協力している姿が、多くの人の心に刺さったのでは」と話した。若い世代にまちの出来事に対して自分事として関わる意識を持ってもらう狙いも込めている。 部員らが制作した足の型を基にして市立考古博物館にある3Dプリンターで樹脂製の足を出力し、色を塗って完成させる。再び元気になったせきまるは今月中にお披露目される予定だ。